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ハイアール 消費者に近づけば、ライバルを引き離す

于文=文 ハイアールジャパンホールディングス株式会社=写真提供

東京・銀座四丁目の交差点には、人目を引く中国ブランド―ハイアールのネオンサインがきらめいている。2002年から、この広告塔が銀座通りにお目見えしたことにより、ハイアールが銀座で最初に広告塔を立てた中国企業となった。

日本市場へ進出

銀座のハイアール広告塔(写真・単濤)
ハイアールグループは、中国山東省青島市の大手の総合家電メーカーで、連続して数年「中国企業五百強」のトップ30にランキングされている。ところが、この中国国内で広く知られたブランドも、当時国外では見慣れない名前である。今までの中国製品に対する安くて粗悪品という総体イメージをひっくり返すため、ハイアールは日本市場に照準を定めた。

日本はもともと「電器王国」と称されてきた。したがって、日本市場への進出は、世界進出の重要な一歩となる。2002年、ハイアールは日本でハイアールジャパン株式会社を設立した。そして三洋電機と合弁で「三洋ハイアール株式会社」を設立し、三洋の販売網を通じ、日本での販売を始めた。2006年、ハイアールはまた三洋と「ハイアール三洋エレクトリック株式会社」を設立し、三洋冷蔵庫の開発グループを吸収し、ハイアールの製品の研究開発能力と冷蔵庫業界での競争力を向上させた。これはハイアールの日本市場での現地化を大いに早め、現地化製品の開発にも強力な後押しとなった。

企業戦略の調整のため、三洋ハイアール株式会社は、2007年にハイアールジャパンセールス株式会社に統合し、日本での販売を担当。ハイアール三洋エレクトリック株式会社は、現地での研究開発と製造競争力のアップに取り組んでいる。

「小型」家電、大きな一歩を踏み出す

ビックカメラ池袋本店で並んでいるハイアール産の家電製品 (写真・単濤)

「何事も始めが難しい」と言われるように、ハイアールの日本市場進出は必ずしも順調だったとは言えない。日本には、家電大手が軒を並べる。ソニー、松下、日立、東芝、シャープなど、いずれも国際的によく知られた有名ブランドである。それに対し、ハイアールは当時ほとんど知られていなかった。いかに日本で生き残り発展するか、ハイアールは有効な戦略を見出す必要に迫られていた。

ハイアールが日本で販売するのは冷蔵庫、冷凍庫、洗濯機といった白物家電で、高度に細分化した日本製品とはまったく競争にもならない。そこで、ハイアールは、小型冷蔵庫、小型洗濯機を突破口に、単身生活をする日本の大学生にターゲットを合わせた。彼らは普通、部屋を借りて住んでいる。居住面積も小さいし、自分の収入も低いため、大型電器は買えない。しかも、授業とアルバイトに忙しくて、複雑な操作をする時間もない。「ただ出かける前にボタンを押し、帰るとすでに洗濯が終わっている。そういうものがほしい」という。ハイアールはこのようなニーズに気づき、販路を開いた。まず、デザインを変え値段を安くし、大学生のニーズにあわせて洗濯スピードが速く、簡単操作を特徴とする小型洗濯機を生産した。

と同時に、ハイアールは、日本の建築構造とパイプの配置が中国とおおいに異なることに気づいた。そこで、日本の基準に合わせたデザインに変えた。例えば、現在日本市場で販売された4.2キロの洗濯機は、高さわずか87センチで、今までの製品より5センチ低い。一部の消費者から蛇口の位置が低いので洗濯機が置けないという苦情があったが、これで無事解決した。

ハイアール日本市場の責任者は、「われわれはずっと一つの理念を持ち続けています。つまり『消費者に近づけば、ライバルを引き離す』というものです。日本は消費者のニーズを細かく吸い上げ、それぞれのメーカーは自分の得意分野を持っていますが、絶対独占権は持っていません。したがって、ハイアールの急務は、消費者対象を絞って、製品を提供することです。今、ハイアールの目標とする消費者は、コスト・パフォーマンスを重視する理性的な消費者で、そのニーズの吸い上げを通じ、製品の競争力を向上させます」といった。

ブランド名をきちんと覚えてもらう

日本人は日本のブランド品を愛用する。いかにより多くの日本人消費者にハイアールの名前を知らせるかは、ハイアールが直面する課題である。

2002年、銀座で中国企業初の広告塔を立てたハイアールは、また2009年、ビックカメラ池袋本店の壁に中国ブランド最初のLED広告を立てた。ブランドを宣伝すると同時に、ハイアールはすでに日本消費者に信用されたメーカーとなったことをアピールしている。

ハイアール冷蔵庫の生産ライン

2009年、ハイアールは日本野球チーム楽天イーグススのスポンサーとして、そのホームで二回冠スポンサー試合を実施した。そして現場でハイアールのロゴをつけたピンク色のエコバッグを八万枚も出し、注目を集めた。多くの若い女性は試合の後、再びハイアールのブースに来て「エコバッグはきれいだし実用性があります。もうすこしいただけませんか」といった。

現在、ハイアールの百リットル以下の冷蔵庫のシェアは38%(2008年GFKデータ〔注〕による)に達し、日本新生活時代の優先選択品となった。7年間の努力を通じ、ハイアールの日本消費者の中での知名度は、すでに39.5%も上がった(ハイアール自らの6000人を対象とするアンケート調査による)。

エコかつ実用的な生活家電

晏小明さんは、ハイアールの今後の発展目標を紹介した。つまり「エコと実用性を中心に発展し、現地でのシェアが先頭を切るような白物家電ブランドの一つになることを目指す」という。

製品の発展戦略として、ハイアールは、冷蔵庫と洗濯機を重点とする。現在、冷蔵庫と洗濯機の日本シェアは合計3.33%で、5年内に10%以上に上げる。新しいエコ技術の使用とベスト・パフォーマンスへの追求を通じ、ハイアールは引き続き消費者のニーズとライフスタイルをもとに、日本の消費者に「くらしにフィットする家電」を提供していく。

注 全国の有力家電量販店のPOSデータを扱う情報サービス会社 GfK Japan のデータによる

 

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