――東日本大震災から1年たった3月14日、北京・国家大劇院で行われた「日本東北民俗芸能、鬼太鼓座と音楽家の訪中公演」は大人気でしたね。伝統的なものだけでなく、ジャズの要素なども巧みに織り込まれていて、ハーモニーの効果をかもし出したもので、興味深かったです。
鋭く観察していますね。今度の公演は太鼓だけでなく、ジャズの要素、そして三味線、沖縄の三線などを混ぜ合わせて、伝統文化と現代文化をミックスして工夫したものです。日本全体が復興に向けて頑張っているイメージを世界に発信したいということです。
東日本大震災後、中国から送られた援助や励ましに感謝するために特別、プログラムに入れたのは、岩手県大槌町に伝わる400年の歴史を持つ伝統芸能・臼澤鹿子踊です。公演の効果からみて大変よかったと思います。この公演は上海、重慶、広州、香港でも行われます。
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北京で人気を呼んだ東北民俗芸能の「鬼太鼓座」の公演(写真・肖一) |
――各地方間の交流はこれからの中日交流の重要な内容になりますね。基金のこれからの活動の重点をご説明ください。
国際交流基金は北京だけでなく、中国全土で盛んに文化交流をしようと、各地の市立図書館や大学施設などの協力を得て、さまざまな形の「ふれあいの場」を11市で行っています。このような草の根交流に加えて、青少年交流も国際交流基金の活動の重要な柱となっています。特に次世代を担う子供たちとの交流は非常に重要ですので、高校生の長期・短期の交流を5年前から大々的に始め、国際交流基金もかかわっています。国交正常化40周年をきっかけに発足した「2012年中日国民交流友好年」に、国際交流基金もできるだけ協力して行こうと考えています。今回の「鬼太鼓座」などの訪中公演のほか、現代美術展、建築展、能と昆劇の共同制作など、数多くのプロジェクトを考えています。
――先日就任したばかりの中日友好協会の唐家璇会長が、就任後初めて会見した日本からのお客さんは理事長だそうですね。
唐家璇氏は昔から存じ上げており、何度かお会いしたことがありますが、今度は、これから中日友好協会と国際交流基金が協力関係を深め、両国間の事業を積極的に推進しようという合意ができました。
また、1980年代のテレビドラマ『おしん』とか、山口百恵の『赤いシリーズ』とかは、中国で大変人気を呼びましたが、もっと日本のいいドラマを紹介し、映画も含めて、新しい高倉健、新しい『おしん』を発見したいなどとおっしゃっていました。そのほか、バランスの取れた知的交流、両国が当面ともに直面する課題、たとえば高齢化、地球温暖化、原子力発電の未来といった共通の問題、いわばグローバルな諸問題をめぐって日本と中国が研究をしていくべきだ、などの話も致しました。
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唐家璇中日友好協会会長(右端)と会見する安藤裕康理事長(写真提供・中日友好協会) |
唐家璇会長のような立派な経歴の持ち主、そして非常に高潔な人格の持ち主が中日友好協会の会長に就任されたのは、多くの人々が期待していたことに違いないと思います。中国は重要な国ですし、これからもっと重要な国になると思います。私も日本側の一員として、中国との文化交流強化に真剣に取り組んでいきたいと思います。
人民中国インターネット版 2012年5月
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