大好きな歌で深まる交流
2011年、冬を迎えた重慶では、雨上がりの後、空気がひんやりとしていて、日差しも薄らいでいる。東京から来た留学生の青山大樹さんは、興奮しながら重慶大学国際交流局留学生科の高翔科長の事務室を訪れ、数日後に開催される重慶大学「キャンパスシンガートップ10」コンクールの入場券を高科長とその同僚たちに配り、是非応援に来てほしいと彼らを招いた。
青山さんは重慶大学新聞学科の学部生で、普段から歌うことが大好きだ。今回の「キャンパスシンガートップ10」コンクールで、彼は決勝戦に進んだ唯一の外国人留学生のため、よりいっそう注目されており、校内のちょっとした有名人となっていた。入場券を渡し終えて、青山さんは学生活動センターに向かった。決勝戦に進出した歌手たちは、それぞれビデオカセットレコーダー(VCR)を制作し、決勝戦当日に放映される。「日本の東京から来ました青山大樹です。今日は、みなさんに日本の歌を聞いて頂きたいと思います。応援よろしくお願いします」と青山さんはビデオカメラに向かって流暢な中国語で自己紹介をした。
中国に来たばかりのころ、青山さんは中国語があまりできないため、中国人の学生たちと一緒に授業を受けると疲れを感じ、出された宿題をこなすことも容易ではなかった。青山さんによると、クラスメートたちがよく彼の面倒を見ているそうだ。教師が宿題を出すと、いつもクラスメートたちが手伝おうかと彼に尋ねてくれるし、分からないことがあれば、いつでもこれらのクラスメートたちに教えてもらっているという。
青山さんは歌が大好きで、より多くの中国の音楽に触れて、中国の曲を日本に持ち帰り、中日両国が音楽の分野で交流を深めて、もっと多くの日本人に美しい中国の曲を聴いてもらいたいと願っている。
重慶大学留学生科の教師たちも、この朗らかでさわやかな日本人留学生を高く評価している。その日の午後、VCR制作に彼と同行してくれた教師もいた。教師とクラスメートたちは彼のために心を込めて応援用の道具も準備した。
中国の古典文化が好きで中国へ留学に来た人々、たとえ定年退職後でさえも年金で学費を支払って留学していた一昔前の「中国ファン」とは異なり、新世代の若者たちがより注目しているのは、中国での将来的なチャンスだ。中国語は彼らがより良いポストに就くための道具であり、ますます激しさを増していく競争を勝ち抜くための「お守り」でもある。
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