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「新四化」で変わる中国 日本との協力が不可欠

 

経済コラムニスト・王建鋼

中国経済は新しい方向性とエンジンを見つけようとしている。中国共産党第十八回全国代表大会やその後の国家指導者の発言から見て、「改革のリターン」と「新しい四つの現代化」(新四化)が注目されている。「改革のリターン」は、政治的な意味が強いが、新四化は、経済に重点を置かれている。

党大会報告では「中国の特色を持つ新しい工業化、情報化、都市化および農業現代化の道を歩み、情報化と工業化の深い融合を推進し、工業化と都市化の好循環をもたらして、さらに都市化と農業現代化が互いに整合性が取れるようにして、工業化、情報化、都市化と農業現代化の同時発展を促していこう」と語っていた。

李克強国務院副総理は、党大会期間中に山東省代表団と懇談した際、また11月28日に世界銀行のジム・ヨン・キム総裁と会談した際にも、繰り返し強調したのは、この「新四化」だった。

原点は「四つの現代化」

今までの半世紀にわたって、中国は繰り返し「四つの現代化」を求めてきた。

1964年、第3期全国人民代表大会第1回会議で、周恩来総理は政府活動報告で初めて「今世紀(20世紀)中に、中国を現代農業、現代工業、現代国防と現代科学技術を持つ社会主義強国に築きあげる」という構想を打ち出した。1979年12月6日、鄧小平氏が当時の大平正芳首相と会談した際、より具体的な「四化」に言及した。それは「二十世紀の終わりまでに、一人あたりGNP(国民総生産)を1000ドルにし、人々の生活を少しゆとりのあるレベルに引き上げる」と語り、またそれを「中国の四つの現代化目標」とした。

今日の中国は、すでにその1000ドルの目標を実現した。「新四化」は、新しい戦略目標として、再定義され、またそれは必ずや実現できるだろう。

まず、中国は依然として大量の余剰農業人口を抱えており、それは工業化によって初めて吸収される。第二に、中国の伝統的な工業は、情報化によって効率を上げ、それによって初めて多国籍企業と同様の競争水準に到達する。第三に、都市部は、工業化に参加している農村人口を受け入れ、出稼ぎ労働者である農民工を最終的に都市住民として定住させなければならない。第四に農業も「生産量を増やして、まずお腹いっぱい食べられる」という目標から「質を重視し、内容を多様化する」という新しい消費ニーズに応えなければならない。それによって初めて豊かな社会を創り上げることができる。

日本と同等の経済規模に

2011年時点では国民一人あたりのGDP(国内総生産)は35083元(約5432ドル)まで引き上げられた。改革開放を本格的に実施し始めた1980年を100とすれば、2011年に1416になり、31年で141倍に増加させ、現在、経済規模はすでに日本と同等にまで成長した。

これからの具体的な「新四化」目標が立てられている。2020年までにそれを実現できたら、中国の経済規模は、おおよそ米国と同等になり、日本の4倍に相当する。巨大な市場では、中国は日本との相互補完関係を強めながら、成長し、日本も新しい成長市場としての中国の近隣にいるだけでも機会があり、恩恵を受けるはずである。

「新四化」にそって未来を展望する場合、以下のような青写真が描かれている。

まずは都市化。これは新四化の中心的な内容である。都市化によって中国の一部地域には新たな変化がもたらされるだろう。2011年6月には、「横二本、縦三本」という鉄道網戦略が打ち出された。ユーラシアを結ぶ陸上のブリッジと長江沿いのチャンネルを横2本として、縦は沿海線、ハルビン—北京—広州の鉄道、内陸部の包頭—昆明の鉄道という3本である。沿海線で国際社会と連携するいままでの外部循環を維持して、陸でもヨーロッパへの繋がりを強め、外部循環をさらに強化する。同時に内陸部での経済成長も促される。都市化はこのような形で拡大していく。

「新四化」に沿って、国際貿易をメーンにしたビジネスで目覚しい都市化の発展を遂げている浙江省義烏市

都市化の中で最も突出する産業としては、都市の社会インフラ、都市間の交通が重要となってくる。また省エネ環境保護がさらに重要視されてくるだろう。現在、中国のGDPにおける第三次産業の比率は43%であり、サービス関連の発展の余地は非常に大きいと言えよう。

次に工業化。早くも2009年に、温家宝総理は、「七つの振興産業」という戦略を打ち出していた。それは新エネルギー(太陽、風力、バイオなどが含まれる)、新素材、情報産業、バイオ医学、バイオ育種、省エネ環境、電気自動車の7つだ。この分野で世界の先端を行っているのは他でもなく日本である。

さらに情報化。前述のように、党大会報告では「情報化と工業化の深い融合」と規定し、情報化によって中国の工業現代化を徹底的に変え、また、エコシティー、情報技術とサービスの結合などによって産業を大きく発展させていく方針を示している。

最後に農業現代化。中国の多くの地域では農業インフラがまだ整備されていない。水利建設の必要性、農業自体の機械化などはこれから本格的な実現に向かう。

「新四化」によって中国はさらに変わるだろうが、その推進過程では日本との協力関係は不可欠であろう。東アジアにおける経済の連携は、中国の新四化によって強められ、またそれによって世界も変わるだろう。

 

人民中国インターネット版 2013年3月

 

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