孫雅甜=聞き手 楊振生=写真
――これまで両国の伝統芸能界では数多くの交流がありました。最近では、2008年に坂東玉三郎さんが昆劇『牡丹亭』を演じ、2009年には野村万作さん、野村萬斎さんによる能と狂言の北京公演もありました。京劇や昆劇などの中国伝統戯劇を演じてみようと考えたことがありますか?
菊之助 私は無理です(笑)。ただ、今回のように一日に同じ舞台で京劇と歌舞伎をやるという形でしたら、これからもし機会があればやっていきたいと思います。
――現代社会に生きる伝統芸能は、次の世代にどう受け継がれていくかという問題に直面しています。菊之助さんは蜷川幸雄監督とシェークスピアの『十二夜』の歌舞伎バージョンを創作しましたね。それは歌舞伎が新しい時代にいかに存続するかについての一種の試みと見てもよろしいでしょうか?
菊之助 確かにおっしゃるとおり、入り口が広いほうがいいと思います。新作を作ることが大事だと思います。ただ、入り口が広くても中に通っている木の幹、つまり芯は伝統と伝承だと思います。歌舞伎ができたのは江戸時代で、今のように機械社会ではなく、ほとんど人力でやっていた世界ですね。つまり歌舞伎は、人間自体の持っている体の能力や感覚が非常に素晴らしいものがあった時代に花開いた芸術なんです。私が目指しているのは、江戸時代に作られた歌舞伎を現代にどのようにすれば復活できるのかということです。
――歌舞伎俳優として、若い世代に歌舞伎を好きになってもらうためにどんな工夫が必要だとお考えですか?
菊之助 今回劇場に来ている方々には、ご年配の方もいらっしゃったんですが、非常に若い方が多かったと聞いているんですね。短い2日間だったんですが。ですから今伝統や文化に若い人が目が向きつつあるのではないかと思います。1回見に来てくださったお客さまを飽きさせない工夫や、歌舞伎って面白いなって思わせる努力が必要だと思います。それくらい歌舞伎は魅力がある芸術ですね。その魅力をお伝えするのは歌舞伎役者の責任ですし、その魅力は必ず伝わると思います。
人民中国インターネット版 2015年4月8日
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