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講演 崑劇と玉三郎には深い縁
演技 所作と歌声が観衆を魅了

 

文・写真=城谷妙子

 

 

『牡丹亭』を演じている董飛さん(右)

 

 

5月16日、北京の日本大使館で「北京日本人会新年度特別企画 『崑劇』の魅力に触れる」というイベントが開かれた。坂東玉三郎が演じた崑劇『牡丹亭』のプロデューサーを担当した北京市京劇崑曲振興協会副会長の靳飛さんが講演し、『牡丹亭』のなかで玉三郎と共演した中国の有望な若手俳優、董飛さんが『牡丹亭』の一部を演じた。

第1部の講演では、「『男旦(女形)』が演じる『牡丹亭』は玉三郎と私の二人で一針一針縫い上げた作品です」と、靳さんがプロデューサーの役割を誇らしげに紹介した。

 

北京市京劇崑曲振興協会副会長の靳飛さん

 

崑劇は中国で600年以上もの歴史があり、2009年にはユネスコの無形世界遺産に指定された。「今日のイベントを故中村勘三郎氏に捧げたい」という言葉で講演を始めた靳さんは勘三郎とは歌舞伎役者の坂東玉三郎を介して知り合ったことを先ず話した。靳さんは「玉三郎は共に中国の男旦を復活させ、崑劇に取り組んだ日本人として中国でもよく知られている人物です」と語った。玉三郎と紆余曲折を経て誕生させた崑劇『牡丹亭』で玉三郎は自ら男旦を演じた。稽古の段階では台詞の発音や解釈を尋ねるために、靳さんに毎晩、国際電話を2時間もかけてきたそうだ。また、靳さんの誕生日には100本のバラが届けられたエピソードなども披露し、国境を越えた二人の友情を熱っぽく語った。この靳さんの講演には日本人、中国人合わせて約170人が耳を傾けた。

 

董飛さん演じる男旦の美しい姿

 

第2部では、昨年11月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)でも『牡丹亭』を演じた若手俳優の董飛さんがその一部を実演した。華やかな衣装を身にまとった董さんが登場すると会場からはため息が漏れ、大勢の参加者がその美しい姿を収めようとカメラや携帯を手に身を乗り出した。董さん演じる男旦の指先からさえも伝わる艶やかな所作や澄んだ歌声は参加者たちを魅了し、演じ終わると同時に会場からは割れるような拍手が起こった。  

董さんは歌舞伎の女形として活躍している玉三郎に憧れ、2008年には『牡丹亭』で共演した。7年経った今でも、毎日欠かさず玉三郎の映像を見て勉強しているそうだ。「稽古は先人の技術を体得するためではなく、その技術を忘れるためのものだ」と教えてくれた玉三郎と今度は歌舞伎の舞台に立ちたいという大きな夢を語っていた。

 

人民中国インターネット版 2015年5月22日

 

 

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