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感動呼んだ『鑑真東渡』日本公演

 

于文=文 呉文欽=写真

12月20日の初演には、福田康夫元首相、鳩山由紀夫元首相、程永華・中国駐日本大使、江蘇省党委員会常務委員で宣伝部長の王燕文氏などが来賓として観劇した。上演は中日友好協会、中日友好21世紀委員会中国委員会、江蘇省人民政府の主催で、江蘇省対外文化交流協会、江蘇省演芸集団有限公司の運営、ポラリス、毎日新聞社の協力、中国駐日本大使館の後援によるもの

 

昨年12月20日、東京都渋谷区のBunkamura オーチャードホールで中国オリジナルオペラ『鑑真東渡』が日本で初めて公演され、約1800人の観客を魅了した。制作・プロデュースを担当した江蘇省演芸集団有限公司は鑑真のふるさと・揚州の芸術団体。12月23日と24日には奈良公演、27日と28日には京都公演も行った。

揚州大明寺の仁如法師が蓮華台で読経を行うのもオペラの一部分となっており、「大悲咒「」華厳経「」心経」は、聞くものを仏の世界へと誘い込む。仁如法師は日本留学の経験があり、両国の仏経に通じている。2時間の上演の間、仁如法師は身じろぎもせず読経を続ける

 

『鑑真東渡』は、742年に唐の高僧・鑑真が日本の留学僧の招きを受けて渡航を決意し、5度にわたる渡航失敗と失明を乗り越え、753年にようやく日本の土を踏むまでの軌跡を描いた物語。「一渡幻海」「二渡愿海」「三渡迷海」「四渡覚海」「五渡心海」「六渡慧海」の6部構成で、中国と日本の文化交流を、史実を踏まえて芸術的に再現している。

5度目の渡航失敗で、鑑真の日本の愛弟子の栄叡は亡くなり、静空は日本に渡ることを諦め、鑑真の元を去る。愛弟子を失ったことで悲嘆に暮れ、さらに両目を失明し、絶望の淵に立たされた鑑真は「果たして日本に渡ることは間違いなのか?果たして仏の意は西に向かうことで、東に向かうことではないのか?」とさまよう心を吐露し、「人」としての鑑真をあらわにする

 

「12月20日は鑑真が初めて日本の土を踏んだ記念すべき日。1000年の時を経て、日本での初演を同じ日にした意義を感じ取っていただければと思います」と、監督の邢時苗さん。構想から完成までに3年の時を費やしたが、その間に多くの日本人と接し、揚州や奈良などの鑑真ゆかりの地に足を運んで史実を把握するなど、鑑真の実像に近づくための努力を重ねたという。「鑑真の話題になると、日本の方々は誰もが『恩人』と口をそろえます。鑑真が新たな血をもたらしたことで、日本の文化が大きく発展と変化を遂げたからでしょう」と語る邢さんは、作品を通じて鑑真の堅忍不抜の忍耐力と不撓不屈の精神、中日友好史の先駆けとなった功績を広めていきたいという。見どころは鑑真と弟子・栄叡の深い師弟愛。栄叡は仏教を修めるために唐へ渡った学僧で、仏教を日本に伝えるべく鑑真を招いた実在の人物だが、その栄叡が死ぬ場面では、多くの観客が涙する様子が見られた。

「鑑真東渡」では全編で中国の古箏と日本の琴が使われている。ルーツが同じで異なる発展を遂げた2つの国の楽器は、時に泣くように、時に訴えかけるように、あるいは意気軒高に情景を描写する。このシーンでは栄叡が亡くなる前に鑑真との別れを惜しみ、果たせなかった日本への渡航の無念と望郷の念を歌い上げている。琴を演奏した松村エリナさんは日本の民謡を歌い死にゆく栄叡を表現。劇中で最も感動的な瞬間を迎えた

 

作曲を手掛けた唐建平さんは「有名な揚州民謡の『茉莉花』は、プッチーニのオペラで世界中に知られるようになりましたが、『鑑真東渡』も『抜根芦柴花』など、江蘇民謡のエッセンスを取り入れた曲を使っています」と音楽の魅力を語る。失明した鑑真が海風を受けながら歌う場面の望郷の念が色濃く反映された『抜根芦柴花』のメロディーは、観客の共感を大いに誘った。さらに日本人俳優の弾き語りや大明寺の仁如法師の読経からは、国境を越えた芸術のコラボレーションを体感するとともに、両国を結んだ鑑真の偉大な功績を改めて感じた。

 

元首相 福田康夫

とても印象深い作品で、鑑真の精神には心を揺さぶられました。私のみならず日本人の観客にとっても、心を揺さぶるような作品だと思います。

元首相 鳩山由紀夫

鑑真の物語は日本ではよく知られていますが、オペラでそれを表現するのは容易ではなかったでしょう。艱難辛苦の上思いを遂げた鑑真の精神を胸に、今の日中両国も困難を克服し、関係発展を実現するものと固く信じています。

中国駐日本大使 程永華

この物語は1000年以上昔の出来事ですが、今に至っても鑑真は私たちの心の中にいます。両国が国交正常化45周年を迎える今、私たち一人一人が鑑真の精神を受け継ぎ、両国人民の友情を深めることに期待します。

揚州市党委員会宣伝部長 姜龍

江蘇省はこのオペラの準備と上演に尽力し、原作・出演スタッフも世界レベルの芸術家ばかりで、鑑真の足跡をたどるべく何度も揚州に来訪し、綿密な調査を行っています。中日国交正常化45周年に際し、この作品が人々に鑑真を思い起こさせ、両国人民の友情を深めることに期待しています。

揚州・大明寺方丈 能修

鑑真の無私の大義は中日間の往来の絆として今に連なり、両国の友好の基礎となりました。世界的な視点からも平和は発展の基礎であり、人類共通の目的です。良い人生と平和は切り離せません。私たちが鑑真の物語を携え来日したのも、平和への祈りがあってこそ。鑑真の精神が中日両国の世代にわたる友好の礎になることを願います。

 

人民中国インターネット版 2017年2月7日

 

 

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