資料提供=駱駝祥子朗読発表会 写真=小谷口博光
昨年2016年は、中国の現代文学者・老舎の逝去50周年。最高傑作と言われるのは1936年に出版された長編小説の「駱駝祥子」だ。十数カ国語に翻訳され、世界的にも有名なこの代表作は、のちに北京人民芸術劇院所属の劇作家・梅阡が話劇に改編したことでも知られている。昨年、日本のオープン・ユニバーシティである放送大学の東京文京学習センターが「戯曲 駱駝祥子」の授業を開講し、その成果発表として、2月5日に同好会メンバーによる朗読発表会が開催された。
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当日はパワーポイントで戯曲のシーンなどを映し出し、会場の雰囲気を盛り上げた |
主人公の祥子(シアンザ)は北京で人力車夫をする農村出身の青年だ。3年必死に働いて、自分の車を持てるようになったものの、兵隊に捕まって車も持って行かれてしまう。祥子は兵隊が戦場に残した3匹の駱駝をつれて逃げ出し、駱駝飼いに30元でその駱駝を売ったことから、「駱駝祥子」とあだ名をつけられた。この祥子の生活と、彼を取り巻く人々が繰り広げる人間模様を通じて描かれる往時の北京の風景が、作品最大の魅力となっている。
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鎌倉演劇人による朗読 |
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翻訳グループによる朗読 |
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明治大学学生グループによる朗読 |
北京の魅力を存分に描ききった本作には、往時の北京を伝える描写と共に、標準語とは異なる京片子(北京語)が満載。そこで朗読会の前に、「戯曲 駱駝祥子」の訳注本を出版した中国文学研究家の大山潔さんが、作品の時代背景や魅力を紹介した。朗読会では出演者たちがバリバリの京片子で演読を展開し、会場は一気に「老北京」へとタイムスリップ。来場者たちは古き良き北京を存分に満喫した。
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演者(左)と共に、中国文学研究家の大山潔さんも虎妞(虎姐さん)役として出演した |
人民中国インターネット版 2017年2月24日
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