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時間とともに風化させないように
-駐中国日本大使館が東日本大震災復興ドキュメンタリー映画『うたごころ』を上映

 

文、写真=王朝陽

 

2017年3月19日、東日本大震災の復興の様子を記録したドキュメンタリー映画『うたごころ(2012年版)』が駐中国日本大使館(イオングループ後援)で上映され、会場は観客で埋め尽くされた。映画には被災地のある少女が、震災後に家族や学校の合唱部の友人とともに、懸命に生き、学んだ物語が綴られている。

 

 合唱部の引退コンサート

 

上映が終わると、榛葉健監督とドキュメンタリーの主人公が姿を現し、観客と交流した。この映画を見るために内モンゴル自治区からやって来た観客は「多くのシーンで感銘を受けました。特に日の出のシーンがとても印象に残りました」と榛葉監督に感想を述べた。

編集時のシーンの構成について、榛葉監督は映画に何回も登場する鳥のシーンを例に挙げ、「この映画では本筋のストーリーと並行して、初めにカラスが津波で折れ曲がった建物の鉄骨に留まり、中間でトンビが旋回し、終盤では無数のカモメやウミネコが群れて飛ぶシーンが挿入されています。真っ黒なカラスは「死」を、白いカモメは「生命」を象徴しています。このシーンの変化を通じて、映画を観てくださる皆様の心の中で、「死」から「生」、あるいは「絶望」から「希望」へと向かいたいと願う深層心理にスイッチが入ることを期待しています。このように、風景描写にさまざまな普遍的な意味を込めているのですが、あえてナレーションなどを一切抑えて明確な説明を避けました。観客の皆さんには自分の視点から自由に考えを膨らませて、自分なりの感想を持ってほしいです」と語った。ドキュメンタリーにはマフラーを巻いた仏像、泥の付いた結婚写真、父親がここで亡くなったのかを聞き続ける女の子など、観客の胸に迫るシーンが多々あり、観賞中に涙を拭う観客も多かった。

 

榛葉健監督(左1)、 ドキュメンタリーの主役(右2)観客と記念写真を撮る

 

榛葉監督がこの作品を製作した目的は、時間の経過とともに被災地への関心と支援を風化するのを防ぐと同時に、今も困難を抱える人々に「生きるエネルギー」をつかみ取ってもらうきっかけにしたかっただめでもあった。今、被災地の復興は二極化が進んでいる。社会的に弱い立場にいる人は依然として生活を軌道に乗せられていない。「『うたごころ』が中国のより多くのところで上映され、被災地の人々にありのままの心を実感して頂けたら、嬉しいです」と榛葉監督は交流の中で願いを述べた。

 

人民中国インターネット版2017年3月21日

 

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