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未来へ向け相互理解を  27人が東京・沖縄・関西へ

于文=文・写真

 

沖縄市国際交流フェスティバルで日本の学生と「世界に一つだけの花」を熱唱する訪日団メンバー

 

2月22日から3月1日の1週間にわたり、人民中国雑誌社の王漢平副社長が団長を務める「笹川杯作文コンクール2016│感知日本」を含む「笹川杯 全国大学日本知識大会」「“本を味わい日本を知る”作文コンクール」の受賞者と引率教員の27人が、主催者の日本科学協会の招へいで訪日した。

訪日中、団員と日本の大学生は共同で、東京で開かれる両国の未来を思い描く「日中青年討論会」のテーマ探しのために沖縄と関西を訪れた。碧海と蒼天が美しい沖縄では、その自然を守るために行われている環境保護にかける努力を知る一方、中国人旅行者が多い関西では、当地の「隠れた名所」を満喫することで、団員は日本への認識を新たにし、大学生と交流を深めることで、相互理解への意識を深め、自分たち若者に課せられた責任を実感したようだ。

 

座禅体験で知る日本との縁

小雨そぼ降る早朝、静寂の広間で30分の座禅を組み、合掌して大師の警策を受ける。座禅が終われば大師の禅宗による座禅の奥義を聞く。まさに『坐禅儀』(座禅の奥義書)の「坐禅せんと欲する時、閑静処において厚く座物を敷き、寛く衣帯をつけ、威儀をして斉整ならしめよ」そのままである。

 

 

全国大学日本知識大会で3位を受賞した、上海外国語大学大学院2年の沈璐璐さんによる手記の一部だ。座禅体験について沈さんは「禅宗は日本と中国の縁を語るものの一つですが、若者にはほとんど知られていません。ですから、座禅体験は多くの人にとって得難い経験になると思います。昔の日本は中国文化を大量に輸入していましたが、現在は日本文化の多くが中国に輸出されています。だからこそ、両国の若者たちは古くからの縁を知る必要があると思います」と語る。

 

研修で深めた日本理解  

選択科目で日本語を学ぶ雲南大学の龐昆静さんは、笹川杯作文コンクールで入賞し、初めて日本の土を踏んだ。宮﨑駿のアニメーション作品の根源といえる、環境破壊や人間の欲望の描写に未来への深刻な憂いを感じていたと言う龐さんは、「浮ついた現代社会で自己を見つけるには、世間の評価に惑わされることなく終始一貫して自分のやりたいこと、やるべきことを推し進める必要があるのではないだろうか」と受賞作で問いかけている。そんな彼女にとっては、環境保護施設の見学や「匠の精神」に触れたことが大きな収穫だったようだ。

「私にとって一番印象深かったのは、沖縄のリサイクル処理場です。そこには日本ならではの工夫が存分に生かされていました。例えば不燃ごみが地下鉄の床材に、ガラス瓶が通行人の注意を促す反射板に、古新聞がトイレットペーパーに、ペットボトルがTシャツにといった具合に」と目を輝かせる。

 

沖縄のサンゴ養殖基地、ゴミ処理場を訪れ見聞を深めた

 

旅行や留学で日本を訪れる人が増えている今、初来日という団員はもはや少数派になりつつある。過去に5回日本を訪れ、現在は神戸に留学中の梁哲璐さんはその好例で、日本に関する興味と知識は人一倍。梁さんの興味の範囲は掃除が行き届いた日本の道路から日本の貧困格差、地方の人材流出といった社会問題に至るまでと幅広く、訪日団メンバーの難問にも即座に対応できるその知識はまさに「日本通」、しかもその見識を表す筆力にも優れているという逸材だ。彼のような知識と見識を持ったメンバーにとっても、今回の研修は新たな発見とひらめきをもたらしてくれたようだ。

 

明るい未来への責務を若者に

「笹川杯」各賞の助成を行う日本財団の尾形武寿理事長は、「日中両国はアジアと世界における重要かつ大きな影響力を持ち、両国関係が悪化すれば世界に迷惑を及ぼすことになる。関係改善の重責は若者にかかっている」と語る。受賞者を率いる武漢大学の夏晶副教授は、「交流を通じ、若者たちは中日両国のより良い前途への夢を明らかにし、共に努力することで、中日関係の明るい未来を創造することが必ずできるはずだ」との見解を示した。さらに人民中国雑誌社の王漢平副社長は、「来日は9度目だが、毎回新たな『出会い』がある。出会いは相互理解の基本だ。訪日スケジュールはバラエティー豊かで、両国の青年がじかに交流を行い、体験を行う形を取ることで、相手国への新たな視点とチャンネルを提供した。このような相互交流が絶えず行われることで、中日関係の未来は絶えずプラスエネルギーを蓄積することができるだろう」と未来に期待した。

 

中日両国の未来予想図

2月24日、訪日団メンバーと一橋大学、お茶の水女子大学などの25人の日本人大学生は「中日関係の未来」をテーマに、若者の視点から見る両国未来の青写真を描いた。両国の美しい未来について、「先入観を克服し、自分で集めた情報と体験で相手を知ること。両国間の問題について理性的な目で見、市民感情から両国関係の好転を進める」との意見が見られた。

 

 

▶2017-2022年 

東京オリンピックと北京冬季オリンピックなどをきっかけに、両国間の人的交流が盛んになる 

中国の先進的電子マネー利用が日本でも可能になる 

SNSの高度な発展により、微信(ウイーチャット)のような両国共通アプリが普及する

 

 ▶2023-2027年

 少子高齢化社会と環境エネルギー問題に両国共同で取り組む

 相手国への好感度を上げる雑誌、書籍、映像が次々と現れる

 インターネットと電子技術が、両国民間の連絡をスムーズにし、言語による意思疎通の問題を解消する

 

▶2028-2031年 

中国の環境問題が大幅に改善し、中国旅行をする日本人観光客数がピークを迎える 

中国人の日本ビザ取得が不要となり、富裕層や中産階級以外の人々も日本旅行が可能となる 

メディアの多元化により、全面的かつ真実の情報を得ることができるようになる 

両国の共同製作による文化的製品が世界に発信され、両国経済のウインウインが世界の規範となる 

 

 

 

 

人民中国インターネット版  2017年6月1日

 

 

 

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