于煒暄
誰もが心の中に一つの紅星を持っている…
2017年7月15日、『人民中国』雑誌社と『中外酒業』雑誌社は「日本の友人が美酒を鑑賞する旅」がテーマのイベントを開き、中国在住の日本人を招いて計20人で北京市懐柔区に位置する紅星二鍋頭のお酒工場を訪問した。幸いにも参加できた筆者は心の中に紅星を宿した。
紅星二鍋頭のポスター
今回のイベントではまず北京二鍋頭博物館を見学し、紅星の発展沿革について学んだ。紅星二鍋頭の伝統的な醸造技術や工程を見学し、参加者は実際に醸造、蒸留、味見などを体験した。
二鍋頭博物館内を見学する参加者
伝統的な醸造工程
筆者もみんなと共に伝統的な醸造工程を聞いた。ナレーターの説明によって白酒の製造過程は主に麹造り、こしき入れ、蒸留という3つの段取りがあることがわかった。説明を受けて筆者は新しい知識を得た。それは、「二鍋頭」の名前の由来だ。白酒の製造における蒸留という過程の中で、職人は3回に分けて冷却水を入れるが、最初の水で蒸留され液化したお酒を「酒頭」と呼び、3回目に冷却水で液化したお酒を「酒尾」と呼ぶ。酒頭は刺激的な匂いがあり、酒尾は不純物の匂いがするから、紅星二鍋頭の工場は、2回目の水で液化した口当たりが一番よいお酒しか使わない。最初と最後を取り除き、真ん中を使う方法を用いているので「二鍋頭」と呼ぶのである。二鍋頭の名前がなんと酒造りの過程と密接に関係しているとは、お酒の文化はやはり奥深い。
参加者の方々にもっと酒造りを体験してもらうために、醸造職人が数人の参加者と実際に作業をやった。筆者は体験することができなかった。体験できた人が本当に羨ましい。
伝統的な醸造工程を体験する様子
「紅星」と日本の小さな秘密
二鍋頭は安い価格と口当たりの良さとその「北京味」で北京人に広く愛されており、北京市民のお酒と言っても良い。今回の見学で、筆者は紅星の工場が中華人民共和国の建国と同じ1949年に建てられ、中国と同じ年齢であるため、紅星のお酒も新中国成立に捧げるお祝いのお酒でもあることを知った。また、筆者は紅星が日本とも関係があることに気付いた。それは、紅星のロゴデザインだ。紅星成立当初、偶然にも日本人反戦活動家の桜井安蔵さんと工場建設当初に携わっていた工場の指導者の一人がもともと同じ職場で仕事をしていた。その指導者の招きで、桜井さんは紅星二鍋頭のロゴをデザインした。最初の図は、赤い五角星と青いリボンだ。赤い星は中国革命の象徴で、青い色のリボンは人々が歌い踊りながら勝利を喜び祝うことを象徴している。1965年に工場全体で協議した結果、リボンの色を青から赤に変更した。このロゴは現在でも使われている。
工場建設当初に桜井さんがデザインした二鍋頭のロゴ
白酒をどう楽しむか
昼に参加者たちは白酒の楽しみ方を学んだ。白酒の利き酒のやり方には色を見る、匂いを嗅ぐ、味わうの三つの段階がある。色を見て、透明であるかどうか、沈殿物があるかどうかを見極める。次に白酒の匂いを嗅いで、その種類のお酒独特の匂いがあるのかどうかを検証し、他の不純物の匂いはないかを確認する。最後に味わう段階では、ゆっくりお酒を口に入れ、お酒を含み、舌を使ってお酒を口全体に広め、ゆっくり味わい、ゆっくり喉を通す。白酒はしっとりとしてこくがあり、柔らかく甘みが長続きし、滑らかな物が上等で、口に入れた時は甘みを感じ、口に入れてから柔らかさを感じ、喉を通す時は滑らかさを感じる。専門家の詳しい説明を聞きながら、紅星二鍋頭の大青花、小青花、原液という三つのサンプルを味わい、お酒の楽しみ方についてもっと学んだ。利き酒を終えた日本人の方々は大変楽しそうな様子だった。人は酒に酔うのではなく、己に酔うのだとはこのことだ。
飲み方を説明する利き酒師の王超さん
専門家の説明を真剣に聞く『人民中国』雑誌社の王漢平副社長(右)と賈秋雅社長補佐(中央)
今回のイベントで数人の日本人参加者にインタビューをさせてもらった。彼らが何を話してくれたのかを一緒に聴こう。(一部抜粋)
森彩也子さん 中国青年政治学院 留学生
このようなイベントに参加するのは初めてでした。お酒は好きですが、お酒に関する知識がなかったです。中国で勉強を教えてくださる先生が北京人で、その先生によく紅星二鍋頭を勧められていましたが、ずっと飲むことがなかったので、今回のイベントに参加することで、紅星二鍋頭の歴史を学び、紅星二鍋頭の味も知ろうと考えていました。
巣守世那さん 北京師範大学 留学生
私は二十歳になったばかりで、お酒については全然知らないです。こういう機会があることを知って、すぐに興味が湧き、お酒工場を見学することでもっと中国を理解できるのではないかなと思って応募しました。
お酒の知識がないので醸造過程についてもやはりよくわからないことばかりでした。今回のイベントでは、お酒がどのように醸造されるのかを知っただけでなく、お酒に関する豆知識も知ることができました。お酒を飲む時にはまず見て、そして匂いを嗅いでから飲むと良いということが分かりました。中国のお酒は透明で、甘くて口当たりがよく、飲みやすいと感じました。
菅田陽平さん 北京大学外国語学院 博士
私はもともとお酒を飲むのが好きで、日本人や中国人の友だちからお酒の知識を色々教えてもらっていました。以前も青島ビール博物館を見学したことがありますが、ナレーター付きのイベントは今回が初めてです。
印象深かったのは、職人たちが二鍋頭を作る時に見せた誇りと真剣さです。また、今日の説明を聞き、中国では二鍋頭以外でも多種多様なお酒があることを知りました。これからもいろんな種類の中国酒を試し、いろんな新しい知識を吸収していきたいです。
もし中国語で中国の白酒を表現するとしたら、「富有历史(歴史豊か)」、「博大精深(奥深い)」、「百花齐放(多種多様)」ですね。 |
中国のお酒地図
イベントの最後に『人民中国』雑誌社の王漢平副社長及び『中外酒業』雑誌社の楊志琴副総編長にそれぞれ総括してもらった。今回の活動は2社の初めての連携で、2人は共に今後交流と連携を深め、また共同で似たようなイベントを企画し、もっと中国在住の日本人の方に中国のお酒工場に来てもらい、中国の醸造技術を知り、特色のある中国のお酒文化を体験して、中日の民間交流を深めたいと提案した。今回残念ながら参加できなかった方は焦らずに、私たちの次の活動にご期待ください。
『人民中国』雑誌社の王副社長(左)と『中外酒業』雑誌社の楊副総編集(右)
みんなの記念写真
人民中国インターネット版 2017年7月25日
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