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ラジオがつなぐドライバーの心

 

活躍する道路情報連絡員

 

道路情報連絡員を兼ねるタクシードライバーの商建成さん

   商建成さん(53歳)は北京市のタクシードライバーだ。1993年にこの仕事に転職する前は、自動車工場で働いていた。「あの頃は、タクシーはこんなに多くなく、自家用車はもっと少なかった。だから走りやすかったです」と当時を振り返る。

 

2002年からは、道路の交通情報を伝える北京交通ラジオ局(FM103.9)の情報連絡員も兼ねている。車内に無線通信機器を設置し、交通ラジオ局に道路状況を報告しているのだ。「もしラジオで37番の連絡員が報告する交通情報を聞いたら、それは私ですよ」

 

商さんは無報酬で情報連絡員をやっている。「そんなに複雑な仕事ではありませんが、誰でもできるってわけじゃない。北京市全体で数十人しかいないんです。責任感が強く、プロ意識の高いタクシードライバーしかできません」とこの仕事に誇りを持っている。

 

王景順さん(69歳)も情報連絡員の一人だ。定年前は、綿紡績工場で働いていた。

 

王景順さんは、毎日自宅から道路状況を観察して交通ラジオ局に情報を提供する

環状線沿いのアパートの16階にある王さんの自宅の窓からは、交通の要所となっている交差点の道路状況が一目瞭然。そこで、毎日朝夕の道路状況を報告している。商さんとは異なるのは、固定連絡員として毎月500元の補助金をもらっていることだ。

 

王さんは毎日、朝夕のラッシュアワーになると、15分ごとに道路状況を観察し、電話を使って交通ラジオ局に報告する。報告のしかたは簡単だ。「正常」「渋滞」「混雑」「事故」などといった内容がすべて決まった数字に置き換えられているので、電話を使ってその数字をプッシュするだけでいい。

 

「毎朝5時に起きて近くを散歩し、6時過ぎに家へ帰って朝食を食べます。そして7時から9時半までが道路状況の報告。ちょうど家で新聞を読む時間です。夕方は5時から7時まで。これも家で夕食を作り、食べる時間です。だから、とくに面倒なことはありません」

 

さらに次のようにも話す。「歳をとっても社会に役立つことができて、妻と一緒に喜んでいます。3人の子どもたちも通勤には車を使っていますから、渋滞がどんなに大変なことかわかる。子どもたちも私たちを応援してくれていますよ」

 

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