「山神」に守られる 「白馬人」の仮面踊り

 

白馬村を守る「山神」

 

神の樹は下勿角村の保護神である
 3、4人抱えもある大樹の前にやって来た。「これは神の樹で、樹齢がどのくらいなのか分かりませんが、毎年、私たちはここで『山神』を祭ります」と村長は言う。

 

「山神」は、村を守る神であり、「山神」を祭るのは、村の最も重要な行事である。樹のそばには木の祭壇が造られ、毎年、旧暦の12月30日から正月15日の間、村人たちはこの祭壇に、線香やロウソク、紙銭などを供え「山神」を祭る。

 

「白馬人」の住居
正月15日には村人全員で、供え物を山の麓まで運んで焼く。それは、「山神」が一年間の災難を持ち去り、来る年が順調な天候で、豊作であることを祈願している。またこの行事の間、「十二相」と呼ばれる魔除けの踊りが踊られる。「十二相」は、お面をかぶった踊りだ。

 

村長が、お面や衣装が入った木箱を開けると、そこにはトラ、獅子、牛、竜、鶏、豚、熊などの動物のお面だけでなく、大鬼と小鬼のお面も2つずつ収められていた。「十二相」と聞いたとき、12支の意味だと思ったが、実はそうではなかった。

 

感情ほとばしる「十二相」踊り

 

お面をつけた「十二相」踊り手。獣の口の部分から外をのぞくことができる
「十二相」踊りは、原始の追儺が変化したものだ。「白馬人」は、山深い原始林の中で暮らしているため、その踊りには、周囲の生き物への原始的な崇拝の気持ちが込められている。

 

同じ「白馬人」の集落でも、村によって「十二相」のお面の数や種類は異なり、少ない所では10ほど、多い所では30あまりもあるという。

 

祭祀や魔除けのための「十二相」踊りは、チベット寺院で使われる長大なラッパの法号や銅鑼、太鼓の伴奏にあわせて行われ、踊り手はすべて男性だ。大鬼、小鬼のお面をつけた踊り手が一番先頭で踊りながら、手に持ったヤクの尾を上下左右に振り回してそれぞれの家を回り、各家の悪魔や鬼などを祓う。ほかの踊り手は、鳥や獣などの様々なお面をつけ、色絹を持って踊る。中には、木製のあいくちのような法器(仏具)を持っている人もいたが、それはおそらく魔よけに使うものなのだろう。

 

豪放で大胆な「十二相」踊り
「十二相」踊りは、とても単純で即興的だ。リードする踊り手に従って、時には回り、時にはしゃがんで、伴奏のリズムに合わせて踊る姿は、豪放で感情豊かである。踊る人たちの後について回る村の人たちは、観客であり祭事の参加者でもある。

 

「十二相」踊りが終わると、人々は輪になり、チベット族が「グオズアン(鍋荘)」、「白馬人」が「オスラォ(哦絲労)」と呼ぶ踊りが披露される。(劉世昭=文・写真)

 

人民中国インターネット版

 

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