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邱先生の24式太極拳講座(10)


海底に針を刺す受け技

      頭を上げて顔を正す、肩を沈めて肘を垂らす、
      胸に含みをもたせて背の力を抜く、腰を緩めて背を正す。
      上下の動きを関連させる、円く緩やかに動く、
      一心に感じて悟る、続ければ必ず成果あり。

十九 海底針 海底に針を刺す

①右足を引き寄せる

 ①(前号に続き「右弓歩」の姿勢で、左手を持ち上げ、右手を前に押し出した形から)上体をやや右にまわし、右足を半歩左足側に引き寄せて、つま先を地につける。左足との距離は、約足一個分。前方を見る。


②重心を後ろに移す

 ②続けて上体を右にまわし、重心を後ろに移す。右足は膝をまげて足の裏全体を地につけ、左足はかかとを持ち上げる。同時に、右手は下からまわして耳の脇まで持ち上げる。手のひらは左側を向き、指先は前を向く。左手は弧を描きながら腹の前まで下ろす。手のひらは下を向き、指先は斜め右を向く。前方を見る。

 


③上体をかがめ「左虚歩」になる

 ③上体を左にまわし、前に身をかがめる。左足をわずかに前に出し、つま先を地につけて「左虚歩」になる。同時に、右手は耳の脇から斜め前方下に向かってつき下ろす。手のひらは左側を向き、指先は斜め下を向く。左手は左膝の前を通って、弧を描きながら左ももの外側に持ってくる。右手を見る。

 右下腹の「気」を前に送るとイメージ。「気」が左腹に沈み、右股下が収縮して、右足が半歩左足側前に出る。背中の右側の「腎兪」(腎臓の後ろ)が後ろへ下に沈み、右下腹は充足感を得る。左股下をやや収縮し、左側の「腎兪」はやや上方、内側に移動するような感覚がある。右の腎臓が左の腎臓を支えているような感じ。手の指は針のように、意念をもって貫く。右手の勁点は「虎口」(親指と人差し指の間)にあり、左手の勁点は手のひらにある。



【ポイント】
 体はまず右にまわし、そのあと左にまわす。その際、上体が前に傾きすぎないように。頭を下げ、尻を突き出してはいけない。左膝はややまげる。


二十 閃通臂 受け技

①体を起こし左足を引き寄せる

 ①上体を元に戻し、右膝をまげて支え、左足を右足の内側に引き寄せる(つま先を地に付ける)。同時に、右手を顔の前まで持ち上げる(手のひらは左側、指先は前を向く)。左手はひじをまげて持ち上げ、右手首の内側におく。前方を見る。

②左足を前に出す

 ②左足を前に一歩出し、かかとを地に付ける。同時に、両手をかき分ける準備をする。手のひらはどちらも前を向く。前方を見る。

③「左弓歩」となり両手をかき分ける

 ③上体を右にまわし、重心を前に移して「左弓歩」となる。同時に、左手を前に押し出し、鼻の高さにおく。手のひらは前を向く。右手は頭の右上に持ち上げる(手のひらは斜め上を向く、親指は下を向く)。左手を見る。

 左手を前に押し出し、右手を頭上に持ち上げる際は、右足の足元から勁力がわき、背中を通って、両手のひらを貫くとイメージ。背中は膨らむような感じがある。



【ポイント】
 ▽決めのポーズのとき、上体は自然とまっすぐになり、腰と股下の力がぬける。左腕は完全に伸びてはいけない。背中の筋肉を広げる。

 ▽左手を前に押し出し、右手を頭上に持ち上げる動作と「左弓歩」となる動作は協調させる。

 ▽「左弓歩」のとき、両足のかかとは、体の中軸線からそれぞれ5センチ以内にある。



  プロフィール】 邱慧芳 1975年生まれ。以前は北京武術隊に在籍、現在は北京理工大学体育部の講師。2003~04年に3回訪日し、日本武術太極拳連盟で教えた。99年第5回世界武術選手権大会太極拳部門、02年中国全国武術選手権大会太極拳部門、03年同大会太極剣部門など数々の大会で優勝している。

 

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