街角に広がるスマイルの輪

スマイルをお届け

「微笑北京」キャンペーンは小学校でも行われた。スマイルマークをうれしそうに掲げ、「スマイル運ぶ小さな使者」となる子どもたち


 観光や飲食、交通、ショッピングなどの分野で「微笑北京」キャンペーンが盛んになっている一方、ボランティアたちも、たくさんの人たちにスマイルを届けようとがんばっている。

 ある日の午前、駱先秋さん(65歳)率いる身体障害者のチームが太極柔力球を楽しんでいた。彼らは車椅子の上で思いっきりラケットを振り、楽しそうに談笑している。体が不自由なことに悩んでいる様子はない。

 しかし2年前には、ラケットをしっかり持つことさえできない人もいた。「当時は、彼らに太極柔力球を教えるというより、彼らの球拾いをするという感じでした」と駱さんは振り返る。それでも駱さんは、額に汗をかきながら、あっちへこっちへと走り回り、始終笑顔で太極柔力球を教えた。みんなの腕が上がるにつれ、練習中、笑い声が絶えなくなった。体調も目に見えてよくなった。

 2006年に参加した国際交流大会では、日本太極柔力球協会の牧田安夫副会長が、駱さん率いる身体障害者のチームに対して、「あなた方が一番すばらしかった!」と感嘆の声をあげた。

 駱さんは、両足を失ったメンバーから、手紙をもらったことがある。そこには、「障害のせいで、5年間ほとんど家に閉じこもっていましたが、駱さんと太極柔力球のおかげで、人生の光を再び見ることができました」と書かれていた。

駱先秋さん(中央)に太極柔力球を教わることで、身体障害者たちは健康になり、楽しみや自信を得た(写真・沈暁寧)



 駱さんはこれについて、「体の不自由な人たちにも私たちと同じように、健康で楽しい生活を送ってもらいたいと考えているだけです」とうれしそうに話す。

 張大諾さんも駱さんと同じように、スマイルを届ける人の一人。スマイルのお届け先は老人ホームのお年寄りたちだ。

 張さんは老人ホームにやって来ては、お年寄りたちと一緒におしゃべりをしたり、日向ぼっこをしたりする。髪をとかしてあげたり、面白い話をして楽しませたりすることもある。

 お年寄りたちはすっかり張さんに打ち解け、今では張さんを見かけると手招きし、自分の心の内を打ち明けるようになった。そんなとき張さんは、お年寄りたちの話にじっくりと耳を傾け、温かい言葉で慰める。お年寄りたちの顔に笑顔が浮かぶと、心が温まるのだという。

 オリンピックは、マナーを守り、調和の取れた社会を建設するきっかけを北京に与えた。北京市民は、自らの行動によって、たくさんの人たちに温もりや楽しみを届けている。北京オリンピック組織委員会の劉淇主席が、「私たちはスマイルをもって、客人を歓迎する中国人民の気持ちを示し、人と人との間の友情や信頼を深めていきます。スマイルは、北京の最高の名刺です」と言ったように。 (沈暁寧 王浩=文  写真提供・北京市ボランティア協会)

 

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