三国人物の隈取り・関公

 

関公 河北省蔚県・任玉徳 作 白大成 所蔵

 

   数々の中国古代の名人の中で、「聖人」と称されるのは二人しかいない。「文聖」の孔子と「武聖」の関公である。

 

   関公(?~219年)は、本名関羽、字は雲長。青竜偃月刀を持ち、赤兎馬に跨って戦場を駆け回る関公は、生涯にわたって劉備を補佐して西蜀を制し、天下三分の偉業を成し遂げた。伝説的な一生を送った関公は「忠」「信」「義」「勇」を一身に集めた道徳の模範とされている。また、中国封建社会の後期には、関公は支配階級から平民にいたるまで、広く敬慕された。

 

   歴代の皇帝も関公に様々な封号を授け、ますます崇められるようになっていった。清代の順治帝(在位1643~1661年)は関公に「忠義神武霊佑仁勇威顕護国保民精誠綏靖佑賛宣徳関聖大帝」という26字にも及ぶ封号を与えた。

 

民間や道教では関公を尊んで「関聖帝君」(略称「関帝」)と呼び、保護神および商売の神様として祭っている。関公を祀る関帝廟(武廟とも呼ぶ)は全国のいたる所にある。顔が赤く髯の長い関公のイメージは、多くの戯劇や民間の美術作品に登場する。 (写真・文 魯忠民 )

 

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