全人代代表ら、経済発展に提言
今年の政府活動報告の中で温家宝総理は経済発展の問題に多くの時間を割いて言及するとともに、来年の経済発展の目標を定め、これらの目的を実現させるための「九大任務」を提起した。
各代表団がグループごとに政府活動報告を討議する際にも、経済発展に関連した問題が自ずと議論の焦点となった。経済学者、地方政府関係者、末端組織の代表ら、そのいずれもがそれぞれ異なる角度から提言を行った。
第11期全人代の代表で世界銀行のチーフエコノミストに就任したばかりの林毅夫氏は、北京代表団の討議の際、03年以降続いている投資の増加スピードの過剰な速さ、貸付金・通貨の投入過多、貿易黒字の行き過ぎた肥大化など3つの問題を取り上げ、「個人的な考えだが、最も核心的な問題は投資の伸びが速すぎることだ」と指摘した。
さらに同氏は次のように指摘した。
私は、「貸付」と「土地」という2つの栓をしっかり引き締め、経済的、法的、行政的な手段を用いて、速すぎる投資スピードの問題を解決する必要があるという政府活動報告の提起に非常に賛成する。この問題の根っこにある真の原因は、改革開放後における収入の配分構造の不合理性と関係があると個人的には考えている。
金融方面では、中小企業に融資を提供できる地域的性格の中小銀行の発展に力を入れるべきだ。そうすることで、労働集約型のこれらの中小企業が就業の機会を創出でき、将来的に企業が金融面で公平な扱いを受けられるようになる。その発展が速ければ、就業の機会も多く創出するし、そうなれば低所得者層の賃金が伸び、所得構造を変えることができる。
投資の伸びと消費の伸びは依然として速く、世界的にエネルギー製品の価格はまだ高めだ。こうした状況のもとで、今年、消費者物価の総合レベルの上げ幅を4.8%前後に抑制し、引き続き通貨引き締め政策を実施するという政府活動報告の提起に、私は非常に賛成だ。
通貨引き締め政策の中には主に2つの選択肢がある。1つは、より弾力的な金利政策、もう1つは預金準備金の引き上げだ。2つとも重要だが、あえて、どちらにより重きを置くべきかと問われれば、個人的には金利政策をより多く用いるべきだという考えだ。
消費者物価指数(CPI)が高めの状況のもとで、金利を上げなければマイナス利率となってしまい、カネが株式市場や不動産市場に流れ、そうした状況は資本市場や不動産市場の健全な発展にマイナスとなる。
中小企業の金利支払い能力は比較的高く、中小企業は金利の高さよりも融資を受けられるかどうかのほうを重視しているはずだ。しかし、預金準備金を引き上げれば、可能な貸付許容額が減少し、真っ先にはじき出されるのは必然的に中小企業になる。中小企業は就業の機会を多く創出することができ、所得配分を改善させることができて、先に述べた「3つの過剰」の問題を解決できる重要な力だ。
全人代代表の袁進琳氏は、西部大開発を推進する際、西部地区のための金融サービス支援をもっと多く提供すべきだと提言する。
温家宝総理の政府活動報告では、「先ごろ発生した深刻な低温・雨雪・凍結災害は、経済に極めて大きな損失をもたらし、庶民生活に大きな難局をもたらした。災害後の再建活動を引き続きしっかりと行い、災害による損失を最低限に留める必要がある」と特に指摘している。
被災地域から来た浙江省奉化市滕頭村の村党委員会書記の傅企平氏は、中国の農業の自然災害に対する抵抗力に懸念を示した。
同氏は「脆弱すぎる」という言葉で中国の農業を形容した。今年初頭の雪害は南部の各省に極めて大きな損害をもたらし、その直接的な経済損失額は1516億5000万元に達した。「でも、手にできる農業保険賠償の額は極めて限られたもので、再建に必要とされる資金のほとんどは財政割当金に頼らなければならない」と同氏は言う。
さらに同氏は、農業保険市場が直面している問題は、市場化の法則に基づいて保険料率を決めた場合、農民ははなから保険料を払い切れないし、農民の支払能力に基づいて保険を購入した場合、保険会社は賠償し切れない、という点だと指摘した。そして、「農業保険を法定保険の中に組み入れ、政府は農業保険に関する政策と補助金に力を入れ、農業生産における自然リスクと市場リスクを最大限減少させるか回避させるべきだ」と提言した。(北京週報記者 於淑均 呉彦飛)
「北京週報日本語版」 2008年3月20日