胡錦濤主席訪日の展望

 

「半月談」誌によると、中国の胡錦濤国家主席は、日本側の招請に応じ、満開の花の季節に国賓として訪日する。第11期全国人民代表大会での国家主席再任後初の外遊であり、中国の国家主席として10年ぶりの日本公式訪問となる。この重大な対日外交活動は中日関係の長期的で健全な安定した発展の推進に非常に重要な意義を持つ。

 

過去10年間、両国の政治関係は紆余曲折を経てきた。当時の日本の為政者が中日関係の政治的基礎に関わる歴史問題において、何度も面倒を起こしたため、中日関係は一旦、国交正常化以来の最低水準にまで冷え込んだ。06年に安倍晋三氏が首相に就任してようやく中日関係に転機が訪れた。安倍首相による同年10月の「氷を砕く旅」から温家宝総理による翌年4月の「氷を融かす旅」、そして福田康夫首相による07年12月の「春を迎える旅」へと、中日関係は回復といくらかの発展へと歩みを続けてきた。安倍首相の訪中で、両国首脳は戦略的互恵関係の構築で合意。温総理の訪日はその内容をさらに拡充し、より明確な目標と実効性を備えた、着実かつ評価可能なものへと引き上げた。これを基礎に、福田首相は訪中時に「創造的な協力パートナーシップ」の構築を提唱、2008年を日中関係の「飛躍的な発展の年」とする決意を表明した。胡主席の今回の訪日は、まさに中日関係が良好な発展基調を呈し、かつ一層の発展への重要なチャンスを迎えた時期に決定されたのであり、「春たけなわの旅」と呼ぶことができよう。

 

胡主席の訪日は両国首脳間の合意事項の実施のみならず、2008年を真に中日関係の「飛躍的な発展の年」とする上で重要な役割を担う。また、戦略的角度と長期的視点から日本側と共に両国関係の今後の発展の青写真を描き、新情勢下の両国関係の発展における重要な指導原則を明確にし、両国の中長期の実務協力の方向性と重点分野を定め、長期安定的な関係発展の枠組を構築するものである。(作者の王泰平氏は対日外交に長年従事し、外交部政策研究司副司長、北京中日文化研究会副会長、駐札幌総領事、駐福岡総領事、駐大阪総領事を歴任)

 

胡主席は訪日中、日本の官民各界に中国の発展戦略を説明し、「中国は確固不動として平和発展路線を歩み、中国の発展は他国の脅威にならない」と強調する機会を持つ。また、中国政府の対日政策を詳しく説明し、日本への最も重要なメッセージ、すなわち日本と善をなし、日本をパートナーとし、戦略的高度から中日関係を認識・把握し、「平和共存、世々代々の友好、互恵協力、共同発展」の大方針を堅持し、平和が永続し共に繁栄する調和世界の構築に共に力を尽くすというメッセージを伝える。

 

胡主席の訪日は存在感ある経済協力実務の旅でもある。たとえば貿易・相互投資分野の互恵協力の拡大、省エネ・環境保護分野の協力の推進、技術革新での協力の促進、両国企業の各自の強みを活かした国際市場の共同開発、食品安全に関する長期効果的な協力制度の構築などが、いずれも会談の議題になり得る。

 

中日の環境保護・エネルギー協力は非常に有意義だ。中国は、長江・渤海・黄海の水質浄化事業への日本側の積極的な参加をはかる。中国は現在省エネを強力に推進しており、2010年までに単位GDP当たりのエネルギー消費量を05年比で20%削減することを目指している。これは省エネ分野に巨大な市場ニーズを生む。中国は日本の進んだ省エネ技術と管理ノウハウの中国市場への参入に期待し、双方の協力を開拓して、両国のエネルギー協力体制を整備することを望んでいる。胡主席の訪日は省エネ・環境保護・新エネルギー分野における両国の協力を力強く推進し、実現させることだろう。

 

胡主席の訪日はちょうど中日平和友好条約締結30周年と重なり、過去30年の関係発展の道のりを共に振り返り、その経験と教訓を総括する良い機会となる。

 

(1)中日関係の成果と良好な局面は得難いものであり、さらに大切にし、心を込めて守らなければならない。これは両国の共同責任だ。

 

(2)中日友好協力は大勢の赴くところ、人心の向かうところであり、遮ることのできない歴史の潮流である。いかなる時であろうと、この信念を堅持し、いささかも揺らいではならない。

 

(3)良好な中日関係の長期安定的な維持は、中国の利益に合致し、日本の利益に合致し、双方の共通利益の在処である。

 

(4)中日関係には、歴史が残した解決を待つ問題、共に対処すべき新たな問題が存在するが、理性的に対応し、慎重・適切に処理し、こうした問題が両国関係の発展の大局に影響しないようにすべきだ。胡主席の訪日を通じて両国はこの点について合意し、今後の中日関係の長期的で健全な安定した発展に深遠な影響を及ぼすに違いない。

 

「人民網日本語版」 2008年4月24日

 

 

 
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