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多様化する北京のホテル

 

 北京オリンピックまであと4カ月とせまった。北京は着々と国内外からオリンピック関係者や観光客を受け入れる準備を進めている。とくに多方面から注目されている宿泊事情については、ハード面、ソフト面ともレベルアップを目指す。

 

オフィシャルホテルが関係者受け入れの主力に

 一部の競技が開催される北京以外の都市でも、関係者を受け入れるホテルが次々と確定している。香港のシャングリラホテルは馬術競技の選手の宿泊場所に決まった(新華社・盧炳輝)

 貴賓楼飯店で催されたサービス技能を競う活動(貴賓楼提供)


東長安街に位置し、天安門の東側にある貴賓楼飯店は、北京でも指折りの五ツ星ホテルだ。2007年末には、隣の北京飯店とともに、北京オリンピック組織委員会から「2008年オリンピック・オリンピックファミリーホテル」に任命された。オリンピックの開催期間、国際オリンピック委員会(IOC)と契約した公式スポンサー・ワールドワイドパートナーの代表を受け入れる。また同時に、ニュースセンターの会場のひとつにもなるという。

 

貴賓楼では、数人の作業員がロビーをリニューアルしている最中だった。支配人補佐の夏敏輝さんは次のように紹介する。「ホテルの一部をリニューアルしています。オリンピックの際、ゲストの方々に新しさを感じていただけるようにと。170室あまりある客室はすべて、IOCから予約をいただいております。スタッフたちはみんな、オリンピックを迎えるための準備に余念がありません」

 

IOCのワールドワイドパートナーは世界各地からやってくるので、言葉の問題を解決するために外国人講師を招いてスタッフたちに英語を学ばせた。また、日本語やスペイン語、フランス語など20以上の言語の通訳スタッフも雇ったという。スタッフたちのサービス能力を高めるために、サービス技能を競う活動も催した。

 

07年12月28日、北京オリンピック組織委員会は、北京および北京以外の競技開催都市6市にあるホテル132軒と正式に契約し、それらのホテルに「北京2008オリンピック・オフィシャルホテル」という名称を授けた。このうち120軒が北京のホテルで、五ツ星から星認定待ちまで、各クラスがそろう。協定によると、北京オリンピック組織委員会は各契約ホテルの客室70%、計3万室近くを自ら予約する。残りの客室は各ホテルが各自で市場に放出する。

 

オリンピック・オフィシャルホテルとは?

北京オリンピック組織委員会が、IOCや国際競技連盟、各国オリンピック委員会の役員やVIP、登録メディア、スポンサーおよびその他のゲストの宿泊を確保できるようにと、事前に選別し『宿泊接待サービス協定』を取り交わしたホテル。同委員会はこれらのホテルの宿泊価格を決定する。

 

スタンダードルームの価格は、五ツ星ホテルが2799元、四ツ星が2155元、三ツ星が1466元、二ツ星が980元。同委員会大会サービス部の向萍・副部長によると、この価格は通常のホテル価格からするとかなり高いが、シドニーやアテネオリンピックの際の価格水準に比べると低い。これはたくさんの人に北京オリンピックを観戦しに来てほしいからだという。また、各ホテルが各自で市場に放出する客室の価格は、理論上、同委が決めた価格を超えることはない。

 

 


特色あるホテルやエコノミーホテルに注目
 

 

IOCの統計によると、オリンピック期間に北京を訪れる人々は220万人に達する。これらの人々は三つのタイプに分けられる。ひとつは、オリンピックファミリーのメンバー、スポンサー、役員や審判など。彼らの受け入れはオフィシャルホテルが担当する。二つ目は、選手やマスコミ。彼らは選手村やメディア村に滞在する。この二つのタイプの人たちは合わせて5万人近くになる。

 

そして三つ目は、チケットを持った一般の観客。北京オリンピックの各種チケットは合わせて700万枚、そのうち75%は国内販売、25%は海外向けに販売されている。これらの観客の大部分は、オフィシャルホテル以外のホテルに宿泊することになる。IOCによると、毎日少なくとも40万人が北京に宿泊することになり、800軒のホテルが必要だという。

 

北京のホテル業界にとっては、オリンピックはまたとないビッグなビジネスチャンスだ。国内外の旅行会社や個人観光客は早くからホテルの予約を開始した。市内南部にある新北緯飯店の支配人、杜和平さんは「オリンピックはたんなるビジネスチャンスではありません。サービスの質を全面的に向上させるチャンスなのです」と話す。

 

エコノミーホテルは、豪華な設備はないが、こざっぱりとしていて便利なため、人気が高まっている。写真は錦江之星エコノミーホテルの客室(新華社・張旭)

 北京周辺の都市でも200軒のホテルが受け入れホテルに選ばれた。写真は河北省易県にある清西陵行宮賓館。満州族の風情がただようホテルだ(新華社・鞏志宏) 

 

同ホテルは宣武区にある三ツ星ホテル。オリンピックを迎えるためにハード面をレベルアップさせようと、06年から改築に力を入れた。かつては、もっとも早い時期に設立された中日合資のホテルであったため、長い間、海外客を受け入れてきた。今後はさらに多くの海外客をひきつけるため、特色のあるホテルとして発展することを決めた。

 

宣武区は北京城の南に位置し、かつては庶民が生活するエリアだったため、北京の民俗的な雰囲気が色濃く漂っている。そこで同ホテルは、こういった庶民の文化「宣南文化」を体現するホテルにすることを決め、風格や客室のしつらえを「老北京」風にした。

 

このほかにも、北京の伝統住宅・四合院式のホテルである侶松園賓館や錦湖之星四合賓館など、特色あるホテルは数多くの海外客をひきつけている。

 

また、「如家」「速8」「快捷假日」などチェーン展開しているエコノミーホテルも人気だ。こういったホテルはフィットネスセンターや高級レストランなどのサービス施設は併設されていないが、簡潔、規格統一、低価格などの優位点があり、やはり多くの観光客に注目されている。オリンピック期間は、国内客の多くが利用することだろう。

 

一般観光客のホテルは足りる?

 北京市観光局の調査によると、北京には現在、星付きホテルが650軒あまりあり、さらに、星認定待ちのホテルやここ数年でランクが上がったホテルが110軒ある。このため、オリンピックの際の需要は基本的に満たすことができるという。同局の熊玉梅・副局長は、「東京やパリに比べるとまだ劣りますが、北京の観光客受け入れ能力はかなり高いと思います」と話す。

 

 

このような星なしホテルに対しても北京市観光局は『北京市宿泊業品質サービス標準』を制定し、サービス能力を標準化し向上させることで、オリンピック期間の宿泊需要を保証するという。また北京オリンピック組織委員会のオフィシャルサイトは、オリンピック観光客の受け入れが可能な星なしホテルや契約ホテルのサイトとリンクさせ、観光客の便を図っている。 (王浩=文 )

 

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