日本の対中投資の構造がグレードアップ
(1)製造業から現代のサービス業へ
日本の対中投資は絶えず変化している。中国商務部の統計によると、2006年の日本の対中直接投資額は、2005年の65億3000万ドルより30%減の45億9800万ドルで、2002年以来初めて減少した。また2007年にはさらに36億ドルまで激減した。
一方でベトナムやインドなどへの投資額は急増しており、ベトナムを例にとると、2003年から2007年までの直接投資額は、2億2000万ドルから9億7000万ドルに増加している。
製造業から現代のサービス業へ
国務院の曽培炎副総理は、初回の中日経済ハイレベル対話の主旨発言で、「現在の中日経済関係において両国の貿易は減速しており、ビジネス環境も理想にはまだ遠い。また技術協力にも障害があり、日本の対中投資に波があるなど、これらの問題は双方が十分に重視するべき」と指摘している。
中国社会科学院日本研究所経済室の張季風主任は、『第一財経日報』の取材に対し、「中国の企業と外資企業の所得税率の一本化、経済成長モデルの転換、資源の供給、人件費の上昇、外資の質に対する要求の向上などは、日本の対中投資の減少につながっている」と語る。
また小泉時代に日本政府が提唱した「中国+1」の投資戦略も影響している。「中国+1」とは、中国に投資すると同時に、ベトナムやインド、タイなどのアジア諸国にも投資し、発展拠点を設けることだ。日本共同通信社の報道によると、広東省に工場を開設したある複写機のメーカーの責任者は、「元高の影響に加え、給料も年間10%引き上げなければならず、いくらコスト削減の工夫をしても無駄で、工場を日本の九州かベトナムに移すことを考えている」という。
しかし日本貿易振興機構ジェトロ上海センターの大西康雄所長は、「給料以外の投資環境でいうと、中国はベトナムよりいい」と言い、対ベトナム投資にも多くの問題があると指摘する。
中国に進出している日本企業は約2万社。そのうち6000社が上海に集まっている。新労働契約法と税率の一本化が実施されてから、ジェトロ上海センターでコンサルティングを受ける日本企業は増加している。大西所長は、「企業が主に知りたいのは、いかにして困難を克服して活路を見つけるかで、中国を離れることではない。他にもっといい投資場所も見つからないし」と言い、工場を沿海地域から内陸へ移したり、輸出向けの製品を現地販売に回したり、ドル決算を円決算に変えたりするなど、多くの日本企業は中国で様々な方法を模索している。
日本企業にとって中国の魅力が薄れているという見方について大西所長は、「日本の対中投資はすでに構造的な変化が始まっており、製造業への投資は減少しているが、現代のサービス業への投資は増加している」とその考えには同意していない。
日本貿易振興機構が2007年11月と2008年1月に行ったアンケート調査では、733社の日本企業のうち520社が海外に拠点を持ち、そのうち70.9%は中国にある。中国では「生産型」が51.5%、「営業型」が55.8%を占め、中国で研究や開発の基地を設ける企業の比例も、昨年の7.1%から9.6%まで上昇し、米国の8.1%を上回って世界トップになった。
同機構のもう一つの調査では、日本企業が中国での拠点の「高付加価値生産機能」と「研究開発機能」をますます重視していることが分かった。同機構の林康夫理事長は、今後、低い人件費を目指す対中投資は減るだろうが、日本企業は技術的な付加価値の高い分野に興味を抱いていると話す。また金融や保険業への投資も増えているという。
製造業への投資が減少する中で、金融、流通など現代のサービス業への投資額は大幅に増加している。日本の対中投資のレベルや質はともにグレードアップし、中日の経済協力はさらに深いレベルに発展していくだろう。「日本の対中投資総額が大幅に増える可能性は低く、更に減少する可能性もあるが、投資内容は変化しており、製造業から現代のサービス業へグレードアップしている」と大西所長は言う。
「チャイナネット」 2008年5月7日
|