70キロにわたる命のリレー

 

「どいた!どいた!」――15日正午、山の麓にある北川県から担架を担いだ武装警官が救急車に向かって飛ぶように駆けてきた。担架の上には廃墟の中から救出されたばかりの李月ちゃんが横たわっていた。北川県曲山鎮に住む小学生の李月ちゃんは丸々3日間がれきの下で圧迫され、生命の危険にさられていた。

 

救急車に駆けつける武装警官

 細やかな処置により命が助かった李月ちゃん

 

李月ちゃんは重度の失血性ショック状態にあり、病院までの搬送中、昏睡状態に陥らないよう看護士はずっと李月ちゃんに話しかけつづけた。

 

救急車が損壊した山道を猛スピードで走っているときにも看護士はすばやく点滴や酸素吸入などの緊急処置を行い、容態が悪化してくると、「もっと速く!」と大声で叫んだ。デコボコな山道は李月ちゃんの身体を幾度となく揺さぶり、容態は益々悪化する一方だった。李月ちゃんが再び昏睡状態に陥ると、看護士は泣きながら運転手に「ちょっとゆっくり・・・・・・」と頼むしかなかった。

 

李月ちゃんの意識は戻ったり、もうろうとしたりを繰り返した。血圧や脈拍が弱くなる度、看護士は「あとどれくらい?」と同じ質問を何度も繰り返した。

 

 救急車の中で焦りをつのらす医療スタッフ

北川県から安県の中学校のグラウンドに設けられた救急病院までは約40キロ。救急車は飛ぶように走ったが、この40キロの道のりはとても長くゆっくりしたものに感じられた。

 

救急車が第4軍医大学の医師らがそろう救急病院に到着。救急テントの中では医師らがすばやく抗ショック処理を施し、容態は一時的に安定したが、出血多量で緊急輸血が必要だった。

 

しかし、この仮設の救急病院には血液のストックがないことから、救援スタッフは30キロ離れた綿陽404病院への移送を決め、李月ちゃんは再び救急車で搬送された。

 

遠くから響いてくる救急警報の音を聞きつけ、404病院のボランティアはテキパキと担架を準備し、大勢の大人が集まって、李月ちゃんをあっというまに救急病棟に運び込んだ。

 

緊張の中、一連の検査や処置が施され、数分後には李月ちゃんがO型だという血液検査の結果が報告された。

 

しかし、病院にはO型の血液が逼迫していた。「電話をかけて血液を調達するんだ!」という医師の指示で医務員らは急いで連絡をとり始めた。およそ20分後、赤々としたO型の血液が李月ちゃんの血管にゆっくりと流れ込んでいき、青白く力のない顔色が徐々に赤く染まり、腫れ上がって冷え切った身体は徐々に温かさを取り戻した。

 

「人民網日本語版」 2008年5月16日

 

 

 
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