75時間ぶりの奇跡の救出

  

2008年5月15日17時35分、コンクリートとがれきの中から申桂珍さんが救出された。担架に乗せられた彼女は、現場にいた人々の手で順々に救急車まで運ばれた。現場では拍手が沸き起こった。地震発生からすでに75時間以上が過ぎ、72時間という「タイムリミット」が経過した後の救出だった。

 

 

申桂珍さんは今回の大地震で完全に倒壊した6階建ての建物の1階に住んでいた。この建物の両側の建物も地震によってひどい損傷を受け、外壁に大きな裂け目が入っている。壁自体も傾いている。もし余震が起こったら、再び倒壊する恐れがある。

 

武警消防隊や成都市錦江区からやって来た民兵たちによって救助活動が進められた。14日にはここから20代の若者が救出された。その後もさらに多くの生存者を見つけるため、救助隊はがれきをひとすくいするたびに、腹ばいになって穴に向って大声で叫んだ。

 

15日11時40分ごろ、がれきの中から助けを求める声が聞こえた。救助隊はその声を聞くとすぐに、専門的な救助技術と装備を携えた成都武警消防支隊に協力を求め、共同で救助活動を行った。

 

救助隊は声が聞こえた場所のがれきを取り除き、幅1.5メートル、高さ50センチの穴をあけた。そして2人の隊員がその中に入り込んだ。2人は穴の中でジャッキを使ってさらに空間を広げ、コンクリートの下から申桂珍さんを引っ張り出そうとした。しかし申桂珍さんの左すねは完全にコンクリートの下に挟まり、ひどくねじ曲がってしまっていたため、なかなか彼女を救い出すことができなかった。

 

 

 

刻一刻と時間は過ぎてゆく。気温もますます上がり始めている。がれきの中に埋もれている申桂珍さんは、70時間あまりも何も食べておらず、水も飲んでいなかった。さらに左すねの重傷も加わり、彼女の生命は危険にさらされていた。両側の建物も今にも倒れそうで、現場にいた30人あまりの救助者たちも生命の危険にさらされていた。

 

医療スタッフと救助隊は申桂珍さんに水や酸素を補給し、彼女を励ましていた。現場で救急処置にあたっていた医師は、申桂珍さんの傷の状況と現場の状況から、その場で左足切断の手術をするという決断を下した。

 

救助現場は医療条件がよくなく、適当な手術用具もない。医師はスコップをメスにし、生理塩水とオキシドールで消毒をした。17時30分、手術が始まった。救助隊員たちも協力し、とうとうがれきの中から申桂珍さんを救い出した。

 

申桂珍さんのいとこの楊亮さんは、彼女が救い出された場面をカメラで撮影した。「私たち一家は救助隊員たちのことを一生忘れません」と感謝の言葉を口にした。(人民中国記者:劉世昭 人民画報記者:段崴)

 

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