妻の危険をかえりみず、子供たちを救った
大地震が襲ったとき、都江堰市竜池鎮南岳中心小学校の五年生李星越くんは、すぐには反応できずぼんやりしていた。建物が激しく揺れはじめ、同級生たちが地面に倒れこんだ。
「地震だ!」と誰かが鋭い叫び声をあげた瞬間、教室内はパニックになった。ほぼ同じころ、肖明清校長がよろめきながら教室の中に飛び込んできた。「みんな、慌てないで。私の後ついて階段を降りよう。さあ、早く!」
人の流れの中、李星越くんは焦りのあまり涙ぐむだけで、どうすればよいのかわからなかった。そのとき、たくましい手が彼の腕をつかんだ。それからその人の肩に乗せられ、人の流れに従って階下に向かっているのがわかった。運動場についてから、自分を背負ってくれたのは肖校長だということがわかった。
一方、運動場から十メートルと離れていない宿舎の建物の二階のバルコニーから、肖校長の奥さんが「あなた、助けて!」と泣きながら両手を振って叫んでいた。「肖校長は振り返る間もなく、学齢前クラスの教室に向かいました」と、李くんはそのときのことを振り返る。肖校長が第二陣の生徒たちを運動場まで避難させたその瞬間、背後で建物が崩れ落ちた。残念ながら二人の生徒がまだ見つからない以外、二百人近い生徒が無事脱出することができた。しかしそのときに宿舎も倒壊し、肖さんが二十年連れ添った妻はその下敷きになった。
その後丸々二日間、肖校長はずっと生徒たちの世話に追われた。肖校長の涙を見た者はいない。ただ痩せた長身のこの男性が、妻が犠牲になった廃墟の前に蹲って、夜が明けるまで延々タバコを吸い続けているのを見た人がいるという。
人民中国インターネット版 2008年5月20日 |