瓦礫の下の歌声
綿陽市中心病院のベッドに横たわっている李安寧さん(十六歳)は、左足を骨折し、治療を受けている。「大丈夫です。痛みは怖くありません」穏やかな女子生徒の顔には、苦痛の表情はうかがえず、医者に微笑みを向ける。十時間わたって瓦礫の中に閉じ込められていたにもかかわらず。
地震が起こった瞬間、北川県第一中学(日本の中等学校と高等学校に相当)の高校一年生の李さんは、四階の教室で授業を受けていた。突然、教室が激しく揺れ動き、二十秒も経たないうちに校舎が崩れ落ちた。目の前が真っ暗になり、崩れ落ちた壁や粉々の破片に押しつぶされ、身動きができなくなった。「かすかな光があって、座った姿勢のままのクラスメートの李遠峰さんの姿が見えました。私は彼の手を握って名前を呼びましたが、まったく反応がありませんでした。暖かかった手が、そのうちに冷たくなってしまいました」と李さんはそのときのことを振り返る。引き続き大声でクラスメートの名前を呼んだ。いつも仲良しの女子生徒三人がすぐそばに横たわっていたが、みんな死んでしまっていた。
どれくらい時間がたったかわからないが、気がつくと数人のクラスメートが「私たちはなんとしても脱出するんだ。頑張ろう」と次々ぬい声をあげていた。続いて、誰かがリードしてみんなで歌を歌い始めた。「みんなで声を揃えて流行歌をたくさん歌いました」中でも一番はっきりと覚えているのは『童話』という歌だという。その歌の歌詞には「幸せと楽しみがエンディング」というフレーズがあるからだ。
人民中国インターネット版 2008年5月20日
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