頼む、もう一人助けたいんだ

 地震発生後、綿竹市の学校の校舎は大部分が倒壊した。授業中の百数名の小学生が崩れ落ちた瓦礫の下に閉じ込められた。消防士たちは分秒を争って瓦礫の中の生存者を捜索した。十数人の子どもが救出された。

 

緊迫した救助活動が進められる中、突然余震が発生し、残りの校舎も倒壊する危険につねにさらされていた。そんな状況の中で、救助活動を行うのは自ら死を招くに等しい危険な行為であった。消防隊を指揮する人は瓦礫の中にもぐりこんだ人々に、すぐに撤退し、状況が安定してからあらためて入るよう命じた。

 

そのとき、瓦礫の中から出てきたばかりの隊員が、子どもを見つけた、と叫んだ。それを耳にした隊員たちが再び中に入ろうとしたところ、倒壊が起こり、巨大なコンクリートの塊が落下してきた。瓦礫の中に向かって走り出していた隊員を他の隊員たちが必死に押しとどめ、安全な場所まで引きずっていった。瓦礫の中から子どもを救出したばかりの一人の隊員が、地面に跪いて激しく泣きながら、自分を押しとどめる人たちに向かって叫んだ。「いかせてくれ。頼む!もう一人助けたいんだ!」

 

この光景を見て、周囲の人はみな涙を流した。しかし、誰もがなすすべもなく、二回目の倒壊をただ見ていることしかできなかった。その後、子どもたちが数人、瓦礫の中から掘り出されたが、生存者は女の子一人だけだった。その子を抱いた若い隊員は、雨の中を叫びながら救援テントに走った。

 

 

人民中国インターネット版 2008年5月22日

 

 
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