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劉麗娜 北京五輪出場権決定! 中国馬術初の五輪出場へ

 

中国は、史上初めて五輪の馬術競技への出場権を手にしました。 

北京五輪の馬場馬術競技会場(香港にあり、元は沙田競馬場) 愛馬ピワスカ(ハンガリー語で「美しいお姫様」)

 

今年2月末から3月初めにかけ、馬術競技の北京五輪選考会を兼ねたグランプリがスペインで行われ、中国の劉麗娜(リュー・リーナ)が得点率64%以上の成績で国際馬術連盟(FEI)の基準を満たして、北京五輪・馬場馬術個人の出場権を獲得しました。

 

これにより、中国は史上初めて五輪大会の馬術競技に出場するとともに、中国代表は、北京五輪全28競技に出場することが決まりました。

 

劉麗娜(29歳)は、見た目で、明らかにアジア的ではない顔立ちをしています。実は、彼女は少数民族のロシア族。小さい頃、スポーツ専門学校で槍投げを練習していましたが、15歳の時にスカウトされ、馬術に転向しました。故郷の新疆チームに所属して、これまでに第8回全国選手権で団体優勝、第9回全国選手権で団体2位と個人4位、第10回全国選手権で団体2位と個人3位など好成績を重ねてきました。

 

そして4年前、アテネ五輪選考会に臨みましたが、馬が検疫の国際基準を満たさないため出場資格を逃しました。その悔しさをバネに、母国で開催される北京五輪には必ず出ようと、2006年、本場ドイツに渡り、単身修行を積んできました。

 

馬術は唯一、動物と一緒に行う競技です。騎手が馬に指示を与えて演技させるためには、人と馬の日常からのコミュニケーションが極めて重要です。そのため、馬術の練習以外、厩舎の清掃や馬の手入れなども、騎手自らやるのが一般的です。

 

ドイツでは毎日、練習や厩舎の清掃作業などに10時間がかかりますが、一日三度の食事も自炊しなければなりません。この『修行』の日々を振り返って、劉さんは「インスタントラーメンで済ませるのが多かった」と笑いながら語ります。こうして2年間、人と馬が暮らしを共にし、いわゆる「人馬一体」の日々を送り、ついに悲願を遂げたというわけです。

 

卓球、飛び込み、重量挙げが強く、サッカーやバスケットボールも盛んになっている中国で、馬術はまだまだ不毛なスポーツ。北京五輪では、メダル獲得は難しいかもしれませんが、中国代表唯一の女性騎手として「愛馬ピワスカとともに中国の馬術を世界に見せたい」と意欲を語る劉さんを、心から応援しています。(鵬)

 

「中国国際放送局 日本語部」より 2008年6月

 

 

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