中国政府、三千年の歴史を持つ羌族文化復興に尽力
中国有数の民俗・民間文化の専門家20人が25日、四川大地震の被災地を訪問し、羌族(チャン族)文化を救う方法について話し合った。これは温家宝総理が震災後に提起した「古い歴史を持つ羌族の文化遺産保護」の一環だ。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
権威ある専門家らは四川省文化庁が起草した「羌族文化生態保護実験区の企画大綱」を検討していく予定。この文書は羌族文化保護の今後3年間の構想だ。
今回の大地震がなければ、羌族の余武秀さん(90)は一生、彼女が生活してきたあの高地を離れることはなかっただろう。
余さんは山の麓に設けられた仮設テントの中で幾度となく涙を流した。「雲の中の民族」は高山での生活を好む。高山を離れ、生まれ育った里に別れを告げることは彼らにとってこの上なく悲しいこと。
余さんが暮らしていたブン川県竜渓郷は、標高2千メートルの険しい山の斜面にある。村人たちは石造りの平屋を建て、外壁に白い塗料で幾何図柄を描いた家に住む。各集落に高くそびえ立つ塔は物見やぐらや穀物や柴などの貯蔵庫としての役割を果たす。羌族は色彩鮮やかな丈の長い衣装を身にまとい、絹製のカラフルな帯を巻き、白い頭巾をかぶり、羊を飼い、とうもろこしやさくらんぼ、あんず等を植えて生計を立てている。
竜渓郷は純粋な民族文化が残っていることから、羌族文化の「標本」として知られる。しかし、1カ月ほど前の地震で、この羌族の集落は廃墟と化し、2次災害の危険性が高いことから、住民4千人余りは仕方なくこの里をあとにした。
羌族は現在、30万人余りの人口を擁し、うち80%以上が四川省の北川県、茂県、ブン川県などに居住しているが、今回の地震でどこも甚大な被害に遭った。
「地震で羌民族文化がほぼ壊滅的な打撃を受けた」と文化部の周和平・副部長は話す。
大地震により、北川県と茂県にある羌族博物館が完全に崩壊。▽北川県だけでも貴重品400点余りと大量の調査資料が廃墟の下敷となり、▽ブン川県にある最大で最古の「大根集落」ではすべての家屋が倒壊し、▽北川県、茂県、理県では100カ所以上の独自の特色豊かな民家や物見やぐら、橋梁が損壊した。
文字を持たない羌族は文化の伝承や祭祀は「釈比」と呼ばれるシャーマンが執り行う。「釈比」は宗教儀式の執行者であり、羌族の歴史や伝説を語り継ぐ語り部でもある。
四川省民族研究所の李紹明さんは「羌文化の核心は無形文化遺産に指定され、その保護は伝承者の保護が中心となる」と説明する。
里が廃墟と化しても、竜渓郷で最年少の「釈比」である余正国さん(26)は「羌族の子供は歩ければ踊れる、話せれば歌える。わたしたちは三千年の歴史を持つ文化を必ず存続させ、ますます活気づけていきます」と希望を語る。
「人民網日本語版」 2008年6月26日
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