地震後に、チャン族文化保護の取り組みが動き出す

 

 

5月12日、四川省ブン川を震源とするマグニチュード8.0の強い地震が発生し、7万人近くが死亡し、1万8千人以上が行方不明になりました。代々ここに住む人々の美しい里は、わずか数秒のうちに廃墟となりました。特に震源地及び断層沿いに集中して暮らしていた中国最古の少数民族の一つチャン族は、人口の1割にあたる3万人余りが犠牲となり、多くの貴重な文化財も瓦礫に埋もれ、壊滅的被害を受けました。

 

被災地の一つ北川県は、チャン族が自治を行なっている唯一の県です。県の民族博物館は、チャン族に関する歴史的資料や実物、民俗写真など1万点以上を所蔵していましたが、地震で倒壊しました。地震発生の時、博物館の無形文化財保護に携わる館員は、10人余りの地元の民俗学者と討論会を行っていましたが、全員、建物の下敷きとなりました。また、詩の鑑賞会を開いていた地元の詩の愛好者50人余りも地震で亡くなりました。

 

ところで、チャン族は文字がない民族なので、民族文化の継承は、人から人への伝承が重要な手段となっています。しかし、国に無形文化財と認定されたチャン族を含む数人の民間音楽家や舞踏家なども地震の犠牲者となってしまいました。また、民族独特の特徴を備え、数百年もの風雨に耐えてきたチャン族の建物で作られている村落も消えてしまいました。

 

地震発生後、中国政府は、民俗協会のヒョウキ才会長をはじめとする専門家グループを派遣し、民族文化を救うための調査を行いました。             

 

専門家たちは、地震で散逸した文化財などを収集する一方、チャン族が使うお経の本や歌の本、さらに代表的な生活用品も集める必要があると提案しました。5月20日、チャン族の民間音楽、舞踊、歴史、風俗習慣、建築、民間美術などの分野の研究者50人が西南大学に集まり、全国のチャン族文化研究者たちと力を合わせ、できるだけ早くチャン族文化を紹介する本を出版することを決めました。

 

地震後、チャン族の一部の人たちはふるさとを無くし、その環境が悪化したため、ほかの場所に移住しなければなりません。政府は、村を再建する時には、チャン族を集中させ、チャン族の特徴を持つ村の建設に力を尽くしていくことにしています。

 

中国国際放送局日本語部より 2008年7月1日

 

 
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