自然環境の保護
青海チベット高原には天然の貯水池ともいえる氷河が広く分布され、長江・黄河・瀾滄江など数十の川の主要な補完水源となり、「アジアの給水塔」と称されている。ここでは、高原特有の希少野生動植物資源が豊富で、世界で平均最高海抜の湿地帯をはじめとする自然景観が多様であり、その生態環境は世界的に見ても重要で独特な価値を有している。
◇環境保護制度の建設及び財政支持を強める
近年、チベットはさらに環境面における進出条件を厳しくし、エネルギー消費が高く汚染の程度が大きい企業の建設を禁止している。と同時に太陽エネルギーを利用したかまどやメタンガスの使用を主とする農業・牧畜地区の燃料代替プログラムを推し進め、2007年だけで全自治区の2万5000世帯の農牧民がクリーンエネルギーを利用できるようになり、大気の質を良好な状態に引き続き保っている。これまでにチベットは環境汚染事故が起きたことがなく、自然の原生状態が基本的に保持され、依然として世界で環境の質が最も良い地区の一つとなっている。
◇生態安全障壁の保護と建設
総投資額が387億元に達した「チベット高原国家生態安全障壁の保護と建設企画」は既に国務院の同意を得て、2007年に起動し始めた。この企画の建設及び実施を通じて、チベットにおける河川の源流及び重要な湖沼生態系の退化の傾向を効果的に抑制し、チベット高原の水源蓄積・生物多様性・水土保持などの重要な生態効能を保護し、チベット高原区域の持続可能な経済発展の能力を向上し、区域の生態安全と国家安全を保障する。
◇自然保護区
2007年まで、チベット自治区には多種多様な自然保護区が40ヵ所設立された。自然保護区の総面積は40万8300ヘクタールで、約自治区国土総面積の34%を占めている。そのほか、生態効能保護区を17ヵ所、国家森林公園を7ヵ所、国家地質公園2ヵ所を設立した。
◇天然林資源の保護と建設
2007年、チベットは天然林資源保護、退耕還林(耕地を林地に還元させる)、退牧返草(牧畜をやめ草原に戻す)プロジェクトを積極的に推進し、同年の植樹造林の面積は34万ムー(1ムーは、6.67アール)に達した。そのうち、重点区域の造林面積は10万6700ムー、耕地を林地に還元させた面積は5万ムー、荒廃した山地での造林面積は10万ムー、伐採後の土地での再植樹面積は19万4000ムー、ボランティアによる植樹面積は4万1100ムー、経済林木の植栽面積は8000ムー、ほかの造林面積は1万4800ムーである。
◇生物多様性の保護
広大な面積、複雑な地形及び独特な気候がゆえに、チベット高原は北半球の熱帯から寒帯までの各種植生の種類をほとんど網羅しており、野生植物資源が非常に豊富な地区である。チベット高原は世界の生物多様性の最も典型的な地域の一つであり、地球の生物多様性を保障する重要な遺伝子バンクでもある。
◇水・大気環境の保護
水環境の保護を強めるため、現在までに、チベット自治区全域で各種の環境観測ステーションが8ヵ所、水質観測ステーションが61ヵ所、水土保持観測ステーションが6ヵ所建てられている。2006年から、自治区では10年を期間とする、出資92億4000万元の大規模な水質汚染予防活動を実施し始めた。
◇青蔵(青海・チベット)鉄道の生態環境保護
青海チベット高原の凍土、湿地などの生態環境を破壊しないようにするため、鉄道工事では橋を以って道に代える措置をとり、チベット自治区だけでもこのために累計13キロの橋梁を設計し、現地の生態環境を最大限に保護した。2007年に自治区政府はまた、鉄道沿線の水・大気・音声・生態環境に対して動態連続観測を実施するという、青海・チベット鉄道環境観測機制を構築した。
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