鳥の巣が地熱エネルギー利用
北京五輪選手村において、6千平米の太陽熱システムが構築され、その工程規模および技術の先進程度は、過去における五輪においても最高だ。五輪期間、選手や大会関係者が利用する温水の供給に用いられ、五輪終了後、これらの太陽熱システムは、附近の住宅地域2千軒分の生活用の温水の提供に用いられる。これにより、毎年1千kWhの節電となり、石炭に換算すると2千トン以上の節約されることになる。
北京五輪では、37カ所の競技会場、56カ所の訓練場所、選手村など5大設備が使用される。これらの競技会場は、計画、設計、施工、竣工検査、運営など各方面で、「エコ五輪」の理念を貫き、競技会場や関連設備は「省エネ・環境保護」基準を厳格に執行し、再生可能エネルギーや新エネルギーの利用、建築省エネ、水資源保護・利用などの方面で、一連の効果のある措置を取っている。
開幕式が行われる中国国家体育館(愛称「鳥の巣」)は6月28日、全工程が竣工したことを宣告した。
「鳥の巣」は、100kWの太陽熱発電システムを設置した。一日当たりの発電量は200kWhで、1万5千平米の地下車庫の照明の電力が補える。また、先進の膜構造を使用し、競技会場内の明るさを保ち、エネルギーの節約を行っている。設計において、雨水の利用を充分に考慮し、処理後の雨水は競技会場の芝生灌漑用水、空調用の冷却水、トイレ用水、緑化、消防水などに用いることが出来、一年あたり6万トンの節水になる。
注目されるのが、「鳥の巣」では地熱ヒートポンプを採用し、競技会場内の空調システムなどに利用していることだ。地熱エネルギーは一種の再生可能なエネルギーで、省エネ・環境保護に有効なシステムである。地中に埋められたヒートポンプを通し、冬季は地熱を用いて暖房システムが、夏季は地中に蓄えられた吸熱量により冷房システムが作動できる。
共同で追求する省エネ・環境保護
「鳥の巣」は北京五輪の競技会場の代表であり、その設計、施工、運営において「エコ五輪」の理念がアピールされている。この理念は北京の五輪競技会場すべてが追い求めているもの。
国家水泳センター(愛称「水立方」)の3万平米の屋根部分では雨水100%を収集でき、雨水利用システムにより1年間収集された水は、一般家庭100万軒が1年間用いる水道水に匹敵する。膜構造などの関連技術により、自然光による採光を利用できる。1日当たり平均9.9時間自然光が採りいれられ、その節電効果は明らかである。
中国農業大学体育館の階段状になった屋根部分は、階段状に並んだ400以上の天窓があり、採光や換気のために開けることが可能だ。補助となる照明が無くても、競技会場内の明るさは、たいていの競技イベントに必要な明るさを補える。
五輪選手村内の生活エリアでは、42棟すべてが環境保護対策のための空調システムを採用している。ウォーターヒートポンプによる再利用システムは、汚水処理場の2級再生水をヒートポンプにより、選手村に冷暖房エネルギーを提供している。年間の数千トンの石炭の節約になり、二酸化窒素などを大量に削減することになる。
五輪射撃館の二重構造の壁の間には、温度センサーが取り付けられ、温度の変化により、外界の冷気や熱気を室内の空気と交換し、自然の風が流れ込む仕組みになっている。このシステムにより、射撃館は、季節により室内温度を調節できるようになり、空調設備によるエネルギー消耗を削減できる。
五輪森林公園では、知能化された灌漑システムが構築されている。土壌の水分、植物の成長、蒸発などの環境変化が、ホストコンピュータに反映される。手動や半自動の灌漑の場合と比べて半分の節水が可能だ。
青島セーリングセンターでは、海水利用ヒートポンプによる空調システムが構築されている。水温が比較的安定している海水を熱源とし、メディアセンターに冷暖房および生活温水に必要なエネルギーを供給している。
省エネ技術は一般大衆に普及へ
統計によると、北京五輪では358項目の「エコ五輪」プロジェクトを実施している。新エネルギー69項目、建築省エネ168項目、水資源121項目がそれに含まれる。五輪プロジェクトにおいて、計9つの太陽熱システムによる温水供給を構築した。地熱エネルギーは4項目、ウォーターヒートポンプは3項目、あと2項目は直接地熱を利用している。
北京オリンピック組織委員会環境工程部の余小萓副部長によると、200万平米の五輪プロジェクトにおいて、26.7%の面積が再生可能エネルギーなどによる緑色エネルギーを採用する予定で、168もの建設省エネプロジェクトによる省エネは、年間20万トンの二酸化窒素の排出を削減することになる。
新たな環境保護・省エネ技術や設備は、五輪競技会場のみならず、今後は、一般区域に普及されることになるだろう。北京市発展改革委員会の関連責任者によると、関連の政策措置がすでに制定されており、多くの先端技術である省エネ・環境保護の技術は五輪競技会場で試用された後、将来、各分野で広く展開され、一般市民の生活の中に取り入れられるだろう。
「人民網日本語版」2008年7月15日
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