文化の多様性と翻訳──第十八回世界翻訳大会に寄せて

今からちょうど400年前、東洋と西洋の邂逅、コミュニケーションにおいて重要な事件が上海で起こった。1608年、中国の著名な科学者徐光啓とイタリアの宣教師マテオ・リッチが『幾何原本』を共訳したのである。その後の400年で、西洋の科学技術と近代思想は翻訳に従って全世界に広がった。西洋の推し進めた植民地主義の盛衰という歴史的プロセスを経て、ようやく今日の経済グローバリゼーションと多様化する文化の世界という趨勢が形成されるに至ったといえる。

400年後のいま、国際翻訳家連盟(FIT)の委託を受け中国翻訳協会が主催する「文化の多様性と翻訳」(Translation and Cultural Diversity)をテーマとした第18回世界翻訳大会を上海で開催する。これはアジアの国で開催される初めての世界翻訳大会である。

この大会のテーマは『聖書』の中の一節、バベルの塔に関する伝説を思い起こさせる。この伝説では多様化する文化間におけるコミュニケーションの困難が暗示されている。バベルの塔に象徴される困難を超越した人類のコミュニケーションの手段として、多元的文化間の理解と信頼を再構築する役割を担い続けてきたのが翻訳である。

ポストコロニアル時代を背景に、アジアの国でこのような会議が開かれることは、人類が「調和のとれた世界」の「同じ夢」に寄せる思いを体現していることは疑いない。この特集では、中国における「文化の多様性と翻訳」をさまざまな角度から整理し、レポートする。(王衆一 侯若虹=文  中国翻訳協会=写真提供)0807

 

人民中国インターネット版 2008年7月17日

 

 
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