世界を理解し、世界に学ぶ窓
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『風と共に去りぬ』 | 中国翻訳史上、代表的な翻訳者には生涯翻訳に従事したプロの翻訳者もいるが、多くは思想家や哲学者、文学者と各種の理論研究をする学者である。彼らはさまざまな社会的背景と研究分野をもち、民族の繁栄や世界の進歩と発展に注目し、百近くの国や地域の数千に及ぶ文学作品を翻訳し、中国人が世界を理解し世界に学ぶための窓を開いた。中国が思想文化の分野で世界と交流することに大きな役割を果たしたのである。
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『明日があるなら』 | フランス文学、特にバルザック作品のベテラン翻訳者として認知される傅雷は、フランス文壇の巨匠であるロマン・ロラン、ヴォルテール、メリメの名作の翻訳にも力を注いだ。彼が生涯翻訳した文学作品は34点、そのうちバルザックが15点ある。
傅雷の翻訳にロマン・ロランの『ベートーヴェンの生涯』と『ジャン・クリストフ』がある。いずれも1930、40年代の戦争時代に翻訳され、傅雷は作品を通じて、国と民族のために闘う中国人を鼓舞せんとした。
1919年の「五四運動」以後、田漢による白話文の『ハムレット』の翻訳を皮切りに、シェイクスピア戯曲が続々と登場した。梁実秋、曹禺、曹未風、朱生豪も同作品を翻訳した。特筆すべきは、短い生涯の最後の数年間に戦争や病気の苦痛に耐えながら、31のシェイクスピア作品を翻訳した朱生豪(1912~1944年)である。80年代末、彼の翻訳作品は140万冊に達した。
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『海辺のカフカ』 | 新中国成立後、著名な詩人である卞之琳が詩体でシェイクスピアの4大悲劇を翻訳。1958年、上海映画訳製厰は40年代後期のイギリス映画『ハムレット』をその訳本を元に編集、吹き替えし、人気を博した。1978年にこの映画が再び上映されると、延べ1億万人に達する人々が観賞した。同年、人民文学出版社による朱生豪、楊周翰、梁宗岱らの訳文を集めた『シェイクスピア全集』が出版された。
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傅雷が翻訳した『ベートーブェンの生崖』 | 「改革・開放」以来、文学芸術分野の翻訳・出版作品が急増し、40あまりの言葉に及んだ。『外国文芸理論叢書』『20世紀外国文学叢書』『バルザック全集』『トルストイ文集』『セルバンテス全集』など叢書や全集、選集が続々と出版された。
近年、中国の翻訳家の外国現代文学作品に対する研究はより系統的になり、『21世紀年度最佳外国小説選』『現代ノーベル文学賞作品叢書』『南米文学叢書』などが相次いで出版され、現代歴史の変化や社会思想の発展と変化、各国文学の継承と発展などが紹介された。
商務印書館の『漢訳学術名著叢書』は、近年中国翻訳学術名著の中でも際立った成果といえる。同叢書は1981年から編集・印刷・発行され、現在では、哲学、政治、経済、歴史、社会学、法律、地理、言語などの分野に及ぶ400点に達する叢書が刊行されている。中国版図書館資料室の統計によれば、1978~90年に全国で出版された人文社会科学の翻訳作品は28500点、1996~2006年に出版された新たな翻訳作品(既訳に対する新訳や複数の版本は含まれない)は127500点に達した。言語教育、文学作品、哲学社会科学に関する作品のほか、学術、財政・経済、科学技術、電子、文化生活の作品も多く翻訳、出版されている。
人民中国インターネット版 2008年7月17日
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