効果的で、透明性、寛容性が備わるEU翻訳の現状

カール・ジョハン・レンロス(Karl-Johan (Juhani) Lönnroth)

長期にわたって北欧諸国、経済協力開発機構(OECD)、国際労働機関(ILO)、東欧州諸国間の国際協力活動に携わっている。

1973年から北欧諸国閣僚会議秘書処で仕事を開始、国の整備・発展、労働、就業、社会、政治、経済政策などの分野に跨る協力に参加。

1996年、欧州委員会に加入し、就業・社会事務総局処長を担当。2004年1月、欧州委員会翻訳総局局長を担任。同機構は世界最大の公共言語サービス機構である。

世界各地において、翻訳という仕事は必ず互いに矛盾する要求に直面する。EUではそれがとりわけはなはだしい。法律の条文や政策にまつわる文書を多くの言語に翻訳しなければならないとき、納税者の税金を使うのは慎重でなくてはならない。絶えず世界最大のサイト群の一つを更新しなければならず、小言語もなおざりにしてはならない。翻訳の量が増えても、訳文の質を落としてはならない。高い効率と寛容性を兼ね備えることは可能なのであろうか。このようなシステムに持続性はあるのだろうか。同時に、地球村の多言語共存を求める声はますます高まっている。翻訳に対する需要はいままさに多様化して発展しつつあり、それにともなって翻訳という職業も絶えず変化している。新技術と情報の現地化が新たな挑戦をもたらしている。翻訳サービスは新たな情勢に対応することができるのだろうか。

2008年は国連が宣言した「国際言語年」であり、EUの「欧州異文化間対話年」でもある。この機会に、EUの言語システムや、翻訳高級管理機構のイノベーションの促進を担う役割、EUの各機構とEUの人々の間の交流において果たす作用を紹介し、翻訳がEU社会及びEUの盛んな発展に対して生む言語産業の影響を重点的に論述したい。

 

人民中国インターネット版 2008年7月17日

 

 
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