中国の国家水泳センター「水立方」では五輪開幕以来、多くの世界記録が生まれている。13日までに決勝が行われた16種目のうち、世界記録が更新された種目は13におよぶ。もっとも驚異的だったのは、男子800mリレーでフェルプスらの米チームが初めて7分をきり、世界記録を5秒も縮めたこと。米国「ワシントンポスト」によると、「水立方」は五輪史上最速のプールの1つだという。「科技日報」が伝えた。
「水立方」で出される驚異的な記録の裏には科学を応用したプールの構造がある。第一に、プールの水深が深いこと。専門家によると、水深が浅いプールの場合、選手の泳ぎで発生したプールの底へと向かう波が跳ね返り、選手の前進に影響する。一流のプールの水深は7インチ前後。「水立方」の水深は10インチ近く、水面下の波の影響を低下させることができる。
第二に、プールの幅が広いこと。大会用プールには普通、8本のコースがある。水立方には10コースあり、そのうち8コースだけが試合に使われ、両側の1本ずつは残されている。選手の泳ぎでできた水面の波が消えるのを助ける役割を果たす。
第三に、プールのへりに設けられた排水溝。選手の泳ぎでできた水面の波はプールの壁を越えて排水溝に入る。こうなれば選手の動きに波が影響を与えることもない。
第四に、波を抑える働きのあるコースの区切り。回転可能な円柱型のプラスチックをいくつもつないでできたこの区切りは波エネルギーを吸収することができる。あるコースの選手が起こした波が隣の選手の前進に影響することを防ぐ。
第五に、最適な水温。プールの水温が低すぎれば、選手は体温の維持のために貴重なエネルギーを消耗することになる。水温が高すぎれば、選手は試合の過程で発生した体の熱量を発散できなくなる。
「水立方」の設計に意見を出したこともある専門家によると、▽良好な照明▽熱心な観客▽適切な気温▽優れた音響効果――なども、選手が好い成績を出すことができるかを左右する。これらは、選手が試合前に最良の精神状態に入るのを助けるからだ。
歴代五輪の競泳の資料によると、競泳で多くの世界新を記録したのは1972年ミュンヘン大会(30種目)と1976年モントリオール大会(29種目)。2000年シドニー大会では15種目で世界新が記録され、第3位となっている。北京大会の競泳の勢いからみると、競泳世界新の数がシドニー大会を超えるのは確実。30種目を超えるかどうかは今後の選手の奮闘にかかっている。
「人民網日本語版」 2008年08月14日
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