陳其鋼氏は1951年に上海に生まれ、1977年に中央音楽学院の作曲学部に入学した。その後フランスに留学し、有名な音楽家に師事し、りっぱな業績を上げ、何回も国際的な音楽賞を受賞。05年にフランス音楽著作権協会から音楽で最高の終身栄誉賞である「交響楽大賞」を授与された。同氏は、張芸謀監督の舞踊劇「紅夢」(「大紅灯篭高高掛」)」の作曲家でもある。
テーマソング「私とあなた」について
五輪のテーマソング「私とあなた」は彼の作品だ。テーマソングに選定されたのは、開会式の趣旨に合致したからだろうと陳氏は言う。中国の伝統や文化、歴史、精神などを表現しようとする開会式では、高くてよく響き渡るメロディーは不向きで、穏やかで緩やかなメロディーの「私とあなた」は開会式の趣旨に合うものと思われた。陳氏は、それまで歌曲を書いたことがなく、それだからこそ、他の人の作品とは違っていたのだろう、と言う。
かつてはポップスを軽視
陳氏はポップスを非常に軽視していた。だが、今回の劉歓氏とサラ・ブライトマンさんによるデュエットで、ポップスに対する見方が変わった。彼は二人のデュエットが非常にうまく、それぞれ自分の個性を歌に融け込ませ、歌の芸術的感性を豊富にしたもので、大成功だったと考えている。
テーマソングにいくつかのバージョン
開会式で歌われたテーマソングは、何回も手直しされた。合唱部分は、本番では中国人民解放軍総政治部合唱団と中国放送芸術合唱団が歌ったものだったが、ほかに中国愛楽楽団、中国交響楽団などのバージョンもある。劉歓氏とサラ・ブライトマンさんに決定する前は、テーマソングの歌手は別の2人の若者だった。
厳選のうえ、テーマソングを決定
数多くの著名な作曲家がたくさんの作品を創作したが、入選しなかった。監督は作曲家たちとは見ず知らずで、ただ自分の考え方を彼らに伝え、作曲家たちにそれぞれ歌を創作してもらう。監督が作品を選ぶ際には、作者の名前は書かれていないのだ。気に入った作品がなかったら、またもう一度創作を組織するというプロセスを辿った。たった6分間ほどの歌の創作は数回にわたって行われた。
張芸謀監督との1年間にわたる協力に触れて、陳其鋼氏は「張監督が非常に好きだ。彼は情実に左右されず、私利を図らず、すべてが開会式のため、すべてが北京五輪のためだった」と晴れやかな笑みを浮かべて言う。
「北京週報日本語版」より2008年8月14日
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