静かな世界、器用な手・・・。ハサミを頼りに、自分の胸の内の感動を切り絵で切り出す切り絵作家の胡雪琪さんは、今、北京パラリンピック選手村の民間文化展示館で切り絵を披露している。
耳の不自由な胡さんは、湖北省の農家に生まれ、今年19歳。3歳半の時、出稼ぎに行く父親に連れられてチチハルに行き、音声を導き出す馬淑芳さんにめぐりあったことが、胡さんの人生を変えた。
馬先生の家に身を寄せた胡さんは、先生の熱心な指導で話すこともできるようになり、教育も受けることができた。ある日、馬先生が胡さんをつれて北京に補聴器を買いに行った時、胡さんは一本のハサミから切り出される切り絵を見た。馬先生は、切り絵に魅せられた胡さんのために切り絵の本を買い与え、胡さんは切り紙を一人で学び始める。
呑み込みの速い胡さんは、短期間で切り絵の基本的な技をマスターし、自らデザインするようにもなった。「私は耳の聞こえる人ほど自分の意思を伝えることができないが、切り絵の物語で自分の気持ちを表現すことができる」と、胡さんは馬先生一家と過ごした15年の生活を10枚の切り絵に表現した。これは15年の物語というだけでなく、馬先生一家に対する深い感謝の気持ちでもある。
胡さんは優れた切り絵で次第に有名になった。北京パラリンピック選手村では、毎日、多くの選手たちが胡さんに切り絵をデザインしてもらっている。胡さんはただ一人の耳の不自由な切り絵作家として、中国の伝統的な民間芸術を世界に紹介することに喜びと誇りを感じている。
「チャイナネット」2008年9月10日
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