典韋（？～197年）は、今の河南省商丘市の人である。三国時代に曹魏の勇将で、「大双戟（双鉄戟）」という武器を愛用していた。かつて牙門の旗を片手で持ちあげ、そのすさまじい力で人々を驚かせた。

曹操が濮陽で呂布を討伐したとき勇ましく戦った典韋は、忠実かつ慎重で曹操に高く買われ、側近となった。その後、曹操は宛城に入ったが、一度降伏した張繍が反乱を起こし、曹操の大本営を打破った。典韋は曹操を逃がすために門前に立ちはだかり、死にもの狂いで戦った。このとき、ひどく酔っていたうえ冑を身につけておらず愛用の武器をも失った典韋は、少しもひるまず腰にはいていた短刀で奮戦し、多くの敵を殺した。部将がみな戦死し、短刀の刃も欠けてしまうと、典韋は二人の敵の兵士を怪力で持ち上げ、さらに数人の敵を倒した。しかし結局は衆寡敵せず、典韋は戦死した。

この戦いで、曹操の長男と甥も命を落とした。のちに自ら彼らの亡骸を弔いながら泣き叫んだ曹操は、「長男と甥を死なせてしまったこと以上に、典韋を失ったことが悲しい」と部将たちに語ったという。

今回の隈取りは、京劇『戦宛城』の中で名優・銭金福が典韋に扮するときに使った隈取りを模様して作られた。（文・写真　魯忠民）0808

人民中国インターネット版　2008年9月22日