「中国の美しい森林ベスト10」に入選、専門家が「亜熱帯カルスト自然環境の本来の顔」とたたえる茂蘭カルスト森林	「六十八級瀑布」。これほどたくさんの瀑布と激流の景観は中国でも珍しい

北緯25度線に沿って眺めると、アラビア半島からサハラ砂漠、メキシコシティ、アメリカ西南部など同じ緯度にあるカルスト地形は、今やほとんどが砂漠化している。そんな中、荔波カルスト地形の2万ヘクタールあまりの土地だけは、木々が青々と茂り、緑があふれている。

水上森林	鴛鴦湖

荔波自然世界遺産は「カルスト王国」といわれる貴州省南部の荔波県に位置する。1200段の石段を上がって茂蘭国家級自然保護区涼水井風景区の展望台に登ると、一番目を引くカルストの景観である錐状カルスト、そしてもっとも典型的なカルスト地形の峰叢カルスト、峰林カルストが目の前に広がる。

カルスト地形のサンプル

天生橋を仰ぎ見る	涵碧潭に横たわる小七孔橋

峰叢カルストは可溶性岩石が強烈に侵食されて形成された石峰の集合体、峰林カルストは峰叢カルストから変化した地形である。荔波カルスト地域は峰叢カルストと峰林カルスト間の進化を示し、世界的に同じタイプのカルスト地形のサンプルとみなされている。

貴州省の省都・貴陽市から300キロ離れた荔波県にやってくると、まるで緑の王国に迷いこんだかのようである。

「木が石を抱く」独特な景観	大七孔観光区の天生橋、河の水が天生橋の下を流れる

荔波世界自然遺産地域は茂蘭国家級自然保護区及び樟江国家級風景区にある大七孔橋、小七孔橋観光区を含む7万3016ヘクタールを擁する。そのうち、「地球のベルトに輝くエメラルド」と称される茂蘭国家自然保護区には、世界の同緯度地域で唯一、地質状況が比較的安定し、密集したカルスト原生林がある。4000種以上の動植物が生息し、亜熱帯カルスト地域における生物多様性をもっともよく保ってきた場所となっている。