陸羽茶道の復元② 飲み方

 

棚橋篁峰

中国茶文化国際検定協会会長、日中友好漢詩協会理事長、中国西北大学名誉教授。中国茶の国際検定と普及、日中交流に精力的な活動を続ける。

私はさまざまな実験を繰り返して、唐代の茶葉の復元と茶道の復元に成功し、唐代飲茶法を確立することができました。しかし、陸羽の『茶経』を読む限り、これらの詳細な記述はありません。したがって、陸羽は知識と経験によって茶の本性を引き出し、優れた品性のお茶を創出したと考えられます。

復元された茶を実際に飲んでみると、今日の茶に比べても遜色のない美味しさであることがわかります。現代人にとってみれば、塩味が気になる人もいますが、塩を入れない場合より苦みを抑えることができます。

陸羽の唐代茶道が長く消滅していた理由は、その茶人としての感性と技術の高さにあったことがわかりました。つまり、他の人には容易に真似のできるものではなく、陸羽の高い知識と教養、茶の品性をまもるための精神にあったのです。

長い間ご愛読いただきました「中国茶文化そぞろ歩き」は今回で終了です。しかし、紹介したものは中国茶文化のほんの入り口です。私のお話が、中国茶の素晴らしさに気付くきっかけになっていただければ幸いです。

前回紹介した唐代の中国茶復元でできたお茶はどのように飲むのでしょうか。 陸羽の『茶経』にしたがって飲んでみましょう。

鎌倉市建長寺での唐代茶道再現の様子

(一)準備。茶道復元に入る前に以下の準備をする。

 一、花を飾る。

 二、お香を準備する。

 三、餅茶を入れておく盒(容器)を用意する。

(二)唐代茶道の復元。以下の手順で茶道を再現する。

 一、餅茶を焙る。

 二、餅茶を焼く。

 三、餅茶を紙に入れて冷ます。

 四、冷めた餅茶を「壇子」という入れ物で保存する。

 五、餅茶を割る。

 六、茶を「碾子」(薬研)で砕く。

 七、茶を「羅子」というふるいにかけ、粉末茶を選別する。

 八、粉末茶を保存する。

 九、水をためておく。

 十、炉と釜でお湯を沸かす。

 十一、「塩台」に塩を入れておく。

 十二、お湯が「一沸」(沸き始め)になったら、お湯に塩を入れる。水と茶と塩の配合は、水一リットルに対して茶10グラム、塩2グラムが最適。ただし、茶葉の種類によっては多少変化させなければならない。

 十三、水をすくう。お湯が「二沸」(沸きが強くなる)になったら、ひしゃくでお湯を一杯すくって、磁器の茶碗に入れる。

 十四、匙で粉末の茶を取りだしてお湯に入れ、かき混ぜる。

 十五、お湯が「三沸」(沸騰)になったら、「二沸」の時に取りだした一杯のお湯を入れて、すぐに釜を炉からおろす。釜を台の上に置き、茶葉が沈んでから、茶の湯をひしゃくで茶碗に分ける。

 十六、お盆で茶碗をお客様に出す。

 十七、小皿で茶菓子を出す。

 

人民中国インターネット版 2009年1月

 

 

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