キーワード11--「デフレーション」

政府関係部門責任者のコメント

中国人民銀行の易綱・副頭取:中央銀行はデフレーションの防止を強調している。これは主に物価が更に低下することを防ぐと同時に、中央銀行にはデフレーションに対応する十分な貨幣政策ツールがあるためである。

中国人民銀行の蘇寧・副頭取:実際、中国ではデフレーションがこれだけ深刻化する状況にはまだ遠く及ばず、デフレ圧力に直面したと言うしかない。中央銀行は現在、デフレ防止策を講じている。一連の内需拡大などのマクロ政策の影響下で、今後数ヶ月はデフレが起きることはないだろう。

代表委員の声

経済学者の厲以寧・政協委員:2月のデータは特殊で、春節や工場の操業停止などの要素もあるため、現在デフレの結論を下すのは時期尚早だ。少なくとも3、4月のデータを待つ必要がある。

政協委員、国務院発展研究センター対外経済研究部の張小済・部長:簡単にデフレと言うべきでない。現在単に価格が低下しているだけだ。統計データには遅れがあり、これで経済情勢を判断するには先物価格、在庫状況、自信指数などの指標も見なければいけない。

記者コメント

今年2月のCPI(消費者物価指数)とPPI(生産者物価指数)はともにマイナス成長となり、デフレ圧力が話題となった。しかし中国の積極的政策はデフレを阻止するだろう。

キーワード12--「貸付増加」

政府関係部門責任者のコメント

中国人民銀行の周小川・頭取:1月の貸付増加幅は予想をやや上回ったが、特殊な時期でもある。速く、慎重に手を打つべきである。中央銀行には貨幣政策を小幅調整するかなりの余地がある。

代表委員の声

政協委員、中国人民銀行の蘇寧・副頭取:中央銀行の2009年の貸付規模と増加速度は「経済成長8%維持」の目標により決定した。今年1、2月の貸付増加速度が速いことには多くの原因があるが、通年で見ると、ほぼ正常な速度で増加している。

政協委員、上海銀行監督管理局の閻慶民・局長:現在の国家の「内需拡大、成長維持」の角度から見ると、1月の貸付増加幅は正常な範囲内だと言える。

記者コメント

1、2月の貸付金新規増加額のデータが相次いで発表された。1月と2月の貸付額は2兆6900億元に達した。通年の貸付額は5兆元以上を目標とし、1月と2月ですでに53.8%に達した。貸付放出のバランスをとることは、現在銀行にとって最も重要な考慮事項となっている。

キーワード13--「中小企業の融資難」

政府関係部門責任者のコメント

銀行監督管理委員会の王兆星・副主席:銀行貸付にだけ頼り、中小企業の融資困難問題を解決することは難しい。銀監会は現在、自身の活動をこなすと同時に、中小企業の銀行貸付に良好な外部環境を提供することで関連部門と協力している。

代表委員の声

張世珍・政協委員:金融支援、税収優遇の面で中小企業を大いに援助すべきだ。中小企業の税収支援に力を入れ、企業所得税率を引き下げ、減価償却を速め、税額控除を実施するなどの措置で企業の税コストを引き下げ、中小企業の事業と経営活力を高める。

記者コメント

中小企業の融資解決は商業銀行に頼るだけではいけない。多層的な融資体系の確立において、特に現在の状況下では、IPO再開、創業板の開設が重要である。

キーワード14--「銀行の資産の質」

政府関係部門責任者のコメント

銀監会の劉明康・主席:2月の貸付金新規増加額のデータはまだ発表されていないが、データがなくても銀行の資産の質は低下していると言える。

銀監会の責任者:金融危機の影響を受けたにも関わらず、今年1月の銀行の資産質量は幸先良いスタートを切り、1月末の銀行不良債権の残高と不良債権率はともに下降を続けた。

代表委員の声

政協委員、中国工商銀行の楊凱生・頭取:1、2月の同行の中小企業向け不良債権の残高は9億8500万元減少し、不良債権率は1.83%まで低下した。

政協委員、招商銀行の秦暁・董事長:招商銀行の不良債権率も引き続き低下している。

全人代代表、湖北銀監局の李懐珍・局長:湖北省が2009年の初め50日で放出した870億元近くの貸付金のうち、公共インフラ、交通・運輸業、製造業の3大業界が占める比率は34%だった。貸付金は関連業界がもたらしたリスク制御に過度に集中放出され、昨年以降、湖北地区の銀行業全体の資産質量は依然として上昇傾向にある。

記者コメント

現時点で銀行業全体の資産質量はまだ低下していないが、貸付金が大企業や大型プロジェクトに多く集中して放出されることに十分警戒しなければならない。

キーワード15--「就業」

政府関係部門責任者のコメント

人力資源和社会保障部の尹蔚民・部長:国際金融危機の影響を受け、中国の経済成長は速度を落とし、就業にも直接影響を及ぼしている。

代表委員の声

政協委員、中央財経大学証券先物研究所の賀強・所長:今年は中国経済が最も困難な時期で、特に就業は最も困難で、2500万人の出稼ぎ労働者と600万人の大学卒業生の就業問題をなんとしても解決しなければならない。

全人代代表、中国民主建国会中央委員会の辜勝阻・副主席:就業は民生の根本であり、就業の安定を維持するという目標は「成長率8%維持」よりも重要である。就業の効果・利益の投資計画における役割に重視し、投資、起業、中小企業の安定を通じ就業を維持する必要がある。

記者コメント

中国にとって、就業は人の生存や社会の安定とも関係する。幸い、就業の安定を図り経済成長を維持するという目標はすでに政府部門と業界の共通認識となっている。政府の一連の効果的な措置の実施に伴い、政府の目標は実現し、就業情勢も安定することだろう。

キーワード16--「人民元の国際化」

政府関係部門責任者のコメント

中国人民銀行の易綱・副頭取:公衆は人民元国際化に対し平常心を保ち、「超車(追い抜く)心理」を避け、互恵・ウィンウィンを目指すべきだ。客観的に見て、危機は人民元国際化を促す可能性があるが、努力して推し進める必要もない。

代表委員の声

国家税務総局の許善達・前副局長:貨幣鋳造税は巨額な世界財産であり、人民元国際化を加速させるだろう。中国はすでに人民元国際化の実力を備えており、中国の財産を増加させ人民元国際化を速めるには更なる決心が必要だ。

記者コメント

人民元の国際化は必然的動向である。中央銀行は現在、人民元建て貿易決済の試行を進めているが、易綱氏が述べたように人民元国際化は「超車(追い抜く)心理」を避ける必要がある。しかし好機を逃してもいけない。関連部門は具体的な試行案を早急に出すべきである。

キーワード17--「外貨準備の使用」

政府関係部門責任者のコメント

中央銀行の易綱・副頭取:外貨準備の運用では安全性、流動性、収益性の原則を考えなければならない。このような穏健で保守的な方針に基づき外貨準備を管理し、金融危機の中で中国の外貨準備を比較的安定させる。

代表委員の声

全人代代表、全人大財経委員会の呉暁霊・副主任:中央銀行の外貨準備高構造は適当で、大幅に調整する必要はない。

政協委員、中国人民銀行の蘇寧・副頭取:外貨資産は中央銀行の負債で、財政収入ではない。国内消費に使用したり、人民元に換える必要があれば、中央銀行の圧力は増大するだろう。外貨準備を使用する際、外貨資産の安全と付加価値の維持を十分確保することが最も重要である。

経済学者の厲以寧・政協委員:外貨準備の最も有効的な使い道は先進機械設備の購入、中国企業の自主革新能力の向上、不足している資源の購入、海外企業の資本参加である。

記者コメント

外貨準備高の拡大につれ、外貨準備の運用ルート拡張や外貨準備高構造の調整に関する論争も徐々に増えている。安全を保証するだけでなく、ある程度の収益も得られるというのは、外貨準備の運用において最も理想的な状態である。企業を通じ外貨準備を利用し対外投資を行うことも、一種の妙策だと言える。

キーワード18--「不動産価格」

政府関係部門責任者のコメント

住宅・都市と農村建設部の齊驥・副部長:東部の一部都市、特に人口が集中している都市では、不動産価格が一般民衆の支払える水準を越えている。国務院が昨年12月に公布した第131号文件では、不動産企業は販売戦略を調整し合理的な価格で販売するよう提案された。これにより、一部都市の分譲住宅の価格には変化が現れた。国務院が第131号文件を公布して3ヶ月足らずで多くの都市の分譲住宅の販売は回復し、40の重点都市の今年1、2月の販売量は前年同期比6.1%増となった。

代表委員の声

全人代、杭州娃哈哈集団有限公司の宗慶後・董事長:民衆の住宅問題を解決するには、不動産価格の合理性を元に戻す措置を打ち出さなければならない。したがって住宅の消費を刺激することは経済成長の促進に効果的である。

兪金尭・政協委員:各地での不動産価格の急上昇は、一般民衆の許容能力をはるかに超えている。なぜ不動産価格が短期間で上昇したかについては、地方政府が「土地財政」に依存しすぎていることと関係している。

記者コメント

不動産価格を合理的にすることは、民衆の望みや価格が戻り販売が増加するということだけでなく、不動産企業と業界にとってもメリットである。

キーワード19--「両率の引き下げ」

政府関係部門責任者のコメント

中国人民銀行の易綱・副頭取:デフレ対策として中央銀行には十分な貨幣政策ツールがある。社会では、中国には比較的大きな利下げ余地があると言われているが、利下げ余地はあるものの大きくなく、ゼロ金利は中国にとって必ずしもベストな選択ではない。

代表委員の声

政協委員、中国人民銀行の蘇寧・副頭取:現在、中国の貨幣政策コントロールの余地は十分にあり、特に法定準備率は13%から15%に達し十分な引き下げ余地がある。5度の利率調整を経て引き下げ余地は縮小されたが、まだ残されているはずだ。今年1月、金融機構預金準備金率は大幅に下がったが、現在の市場流動性は十分にある。マネーサプライの増加が経済成長を後押しできるための十分な手段が中央銀行にはあり、どのような手段を用いるかは市況を見て判断する。貸付増加に歯止めがかからない場合、中央銀行は貸付規模の制限を再度設定し直すのかということについて、中央銀行が行う貸付資産額の調整には多くの方法があり、貸付規模に限らず、マネーサプライをコントロールして行ってもよい。

政協委員、上海銀監局の閻慶民・局長:3月のCPIはマイナス成長となり、貨幣政策にはまだ調整余地がある。預金準備率と利率が再度引き下げられることも考えられる。

記者コメント

市場の十分な流動性を維持するため、中央銀行の手元には準備措置が多くあり、通年のマネーサプライM2伸び率は17%に達する見通し。しかし利率の引き下げはより慎重となる。

キーワード20--「財政赤字」

政府関係部門責任者のコメント

財政部の謝旭人・部長:積極的な財政政策の実施により財政収支差額は拡大し、中国の財政赤字は大幅に拡大する。赤字補填のため、国債を追加発行すべきである。2009年、中国の財政赤字額は9500億元に達する。財政赤字は総合的な国力において許容範囲内にある。

代表委員の声

政協委員、財政部科学研究所の賈康・所長:今年の赤字額は跳ね上がるが、GDP成長率の3%を占めるに止まり、安全な範囲内と言える。このような赤字拡大は、財政全体のマクロ調整の思想を反映している。どの政策にもプラスとマイナスの面があり、われわれは特にプラス面の影響に注目している。また、各関連措置を通じ、マイナス面の影響は限られる。赤字財政の主なマイナス面の影響はリスクの問題である。しかし現在の赤字は積極的かつ穏当なものだと言うべきだ。

政協委員、清華大学中国・世界経済研究センターの李稲葵・主任:現在打ち出す赤字措置は、速やかで、合理的で、必要性のあるものだ。

記者コメント

経済成長率を維持する上で、マクロ経済調整を目標とし、積極的な財政政策を行うにはある程度の犠牲が必要となる。財政赤字がその一つである。これはリスク制御の範囲内で、このような短期的な犠牲は必要である。

 

 

「チャイナネット」 2009年3月17日

 

 

 

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