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荒地が豊穣の地に「北大荒」開拓の歴史

歴代の開拓者たちの奮闘で、「北大荒」はすでに3600万ムー以上の良き田畑となり、毎年、国に、商品として売買される1000万トン以上の食糧を提供している(雑誌『中国科学探険』提供)

中国・東北部の黒竜江省に広がる三江平原と松嫩平原などは、かつて見渡す限りの荒地で、「北大荒」と呼ばれていた。面積は約544万ヘクタール。夏は雑草が生い茂り、冬は氷に閉ざされ、人煙まれな土地だった。土地の民謡はこう歌う。

北大荒 北大荒   

ウサギもいるし、オオカミもいる   

だが、雑草が生えるだけで   

穀物は獲れない

新中国になってから、この地を開墾するために、多くの人々が続々とやってきた。復員軍人14万、大学生5万、都市の知識青年54万……。彼ら彼女らは、その青春と知恵、さらに命さえ注ぎ込んで、この荒地をついに豊穣の地に変えた。「北大荒」はいまや、毎年1000万トン以上の食糧を産出する中国最大の食糧基地「北大倉」になった。

入植者たちの開拓魂

「北大荒」に初期に入植し、中国最初の女性のトラクター運転手となった梁軍さん。手に持っているのは1962年発行の1元札で、正面には彼女がトラクターを運転している絵が印刷されている

1947年6月、新中国誕生直前の困難な時期に、中国共産党東北局は、東北部の解放区を固め、解放戦争を支援するため、3000人以上の解放軍の将兵と地方の青年たちを組織し、松花江と嫩江との沖積平野である松嫩平原の通北、査哈陽や、黒竜江、松花江、ウスリー江にはさまれた三江平原の鶴立などの農場を次々に設立し、「北大荒」の開墾事業に最初の種子をまいた。

「鶴立農場」の呂凱さんを訪ねた。この地に最初に入植した人だと聞いたからである。しかし呂さんは首を横に振ってこう言った。「私の親父の世代はみな亡くなってしまいました。彼らこそ、農場ができてすぐにやってきた最初の開拓者たちです」 呂さんは当時8歳だった。母親に手を引かれ、100キロ以上の山道を歩いて、父が中隊長をしていた農場を探しながらやって来た。呂さんは言う。

「やって来た当時は、二部屋の草葺きで泥造りの家に、4家族が住んでいました。夜は、部屋の南と北にあるオンドルに分かれ、真ん中に大きなシーツを吊るして寝ました」 「親父たちの世代の開墾は実に大変でした。農繁期には、トラクターがやって来るのを待たずに、親父が人々を率いて犁を引き、耕し、ローラーを引いて地面をならしました。やっとトラクターがこの辺りの荒地を耕し始めると、人はトラクターの後ろについて、起こされた土に木の棒で穴を開け、そこに二粒の種子を入れ、その上から脚で踏んでならしたのです」

「北大荒」の開墾農場で作業する知識青年たち(1970年撮影)

黒竜江省の農墾総局の宣伝部で、当時の資料を見せてもらった。1962年に発行された一元札の表には、女性のトラクター運転手の絵が印刷されていた。張雅文副部長は「彼女は梁軍といって、『北大荒』の初期の開拓者であり、中国で最初に女性のトラクター運転手になった人です」と言った。

ハルビンの、ある住宅ビルの客間で、今年79歳になる梁軍さんと会った。彼女は当時撮影されたトラクターを運転する自分の写真を指差しながら、「北大荒」の開墾の思い出を語り始めた。

1948年、黒竜江省徳都県(現在の五大連池市)の萌芽師範学校で学んでいた彼女は、同省の北安農場にトラクターの運転を習いたいと申し込みに行った。女の子は彼女一人だったため、指導者は「トラクターの運転を習いたいそうだが、女の子の君はしっかりやり遂げられるのか」と尋ねた。すると彼女はこう答えた。「ソ連(当時)の映画では、女でも戦車を運転してドイツの鬼どもをやっつけたのです。私だってトラクターを運転して荒地を開墾できます」

数カ月後、梁さんは着実に、トラクターの運転と整備・補修の技術を身につけた。そして卒業した日に、二人の男子学生とチームを組んで、ソ連から輸入されたトラクターを運転して、徳都県萌芽にある農場に帰ってきた。

彼らは交代で休んだが、トラクターは休まなかった。朝から暗くなるまで開墾し、ある春季には3000ムー(1ムーは6.667アール)以上を開墾し、1900ムーの畑に小麦をまいて、農場総局から表彰された。

こうした彼女の話が広まると、数人の娘さんたちが「北大荒」にやってきて、トラクターの運転を学んだ。そして梁さんの呼びかけで、「北大荒」に中国初の「女性トラクター隊」が結成されたのである。

 

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