60年で貧困からややゆとりのある生活へ  
 

 

「どんな小さな問題でも13億をかけるととてつもなく大きな問題に変わり、どんなに大きな総数でも13億で割ると小さな数になってしまう」。この簡単だが複雑な算数の問題は、13億人を抱える中国の国情をそのまま映し出している。

この60年間、中国人は食糧問題や貧困からの脱出など世界的な難題を一つずつ解決し、貧困から衣食に困らなくなり、そしてややゆとりのある生活へと2度の歴史的な飛躍を遂げてきた。しかし発展途上の段階にある大国・中国の基本的な国情は依然厳しいもので、資源環境の制約や民生の難題など数多くの試練に直面している。

新中国が成立してから長い間、特に「自然災害に見舞われた3年」といわれる時期(1959年-1961年)は食糧不足で食べるものにも事欠き、多くの中国人が飢餓に苦しんだ忘れ難い記憶をもつ。

新中国誕生に際し、当時米国務長官だったアチソン氏はこのように言った。「歴代政府はいずれも中国人の食の問題を解決していない。同じように共産党政権もこの問題を解決できないだろう」と。

一つの側面からみると、彼が言ったことは大げさとはいえない。1949年、全国の食糧総生産は1億1300万トンで、1人当たり209キロの食糧しかなく、多くの人々は飢餓にあえいでいた。食の問題解決が新中国成立後の最重要課題だった。中国は1955年食糧配給券制度をやむを得ず導入し、食糧不足時代の歴史の印を刻んだ。1978年、生産責任制が全国で始まり、農作物の生産に対する農民の積極性を刺激した。1982年から1991年の10年間、中国の食糧生産量は毎年8%のペースで増加し、一気に世界最大の食糧生産国に伸し上り、世界の10%に満たない耕地で世界の22%の人口を養うという軌跡を起こした。特にここ数年は農業税の取り消しなど一連の農業優遇政策により、6年連続で豊作となった。タで、中国の食糧貯蓄は世界の平均水準に達した。

中国の食の問題解決は、大規模な絶対貧困人口の貧困からの脱出と同時に進められた。世界銀行の08年のデータによると、過去25年の貧困脱出事業の成功例の67%は中国によるものだ。

「人の生存権と発展権に関して中国には依然として解決の必要な難題が多くある」と清華大学の胡鞍鋼教授は話す。

食糧を例にとると、食糧は6年連続で増産したものの、食の安全については気を緩められない。13億人分の食料をいかに確保するかが中国に直面している重要な問題だ。

特に懸念されるのは、ここ10年間で中国の耕地面積が1億2400万ムー(1ムー=6.67アール)近く減り、18億2700万ムーしか残っていないことだ。18億ムーのレッドラインの確保は困難を極める。

貧困問題も同じように試練に直面している。国務院扶貧弁公室の範小建主任によると、中国政府は今年国内の貧困ラインを1人当たり1196元の平均純収入とする基準調整を行った。それでも貧困人口はまだ4007万人にのぼる。

同時に中国の発展には都市と農村の格差や収入分配の格差の開きがみられ、地域の発展がアンバランスという現実的な難題を抱えている。

 

「人民網日本語版」2009年9月10日

 

 
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