生活を多彩にした携帯
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今年5月6日、北京の西単商場前では、「中国移動」社が3G体験コーナーを登場させた。第一世代から第三世代までの千を超す携帯の模型が壁一面に展示された |
1998年、中国の携帯保有者はわずか100人に2人だったが、当時、携帯の重要性はすでに誰もが知っていた。
この年の夏、長江の水位は高いまま下がらず、荆江の大堤防は決壊の危険にさらされていた。葉天然さんは、突貫作業隊の一員として、大堤防の上で洪水と闘っていた。大堤防の上での日々は、非常に苦しく、蚊や虫に刺され、毎日40度の猛暑の下、何回も大堤防を見回らなければならなかった。
しかし、この苦しみは、家族と連絡が取れない苦しみにははるかに及ばなかった。隊員たちは、家族を思い出すたびに眼に熱いものがこみあげてくるのだった。
だが、葉さんは携帯を持っていた。それで毎日一回、家族と話をし、「無事でやっているよ」と告げた。テレビに映された自分の姿を息子が見て「パパはすごい」と言ったときには、葉さんは感動して涙を流した。この日は一番幸せな日であった。他の隊員も、葉さんの携帯を借りて、心からの祝福やこまやかな愛のささやきを絶えず発信した。
隊員全員が心を合わせ、史上最高の水位と闘う試練に耐えて、ついに九月初め、決壊から大堤防を守る任務を終えた。祝賀パーティーで隊長はみなに、なにか願いがあるかと尋ねた。隊員たちは口をそろえて「携帯を一台ずつ配給してください」と言ったのだった。
現在、中国では、携帯がすでに全国に普及し、今年3月末現在、中国の携帯台数は6億7000万台、普及率は50.7%となった。
携帯の普及は中国人の生活を一変させた。1台の携帯があれば、電話をかけるだけでなく、移動しながら仕事をし、写真や録画を撮り、メールを送受信し、ネットサーフィンまで、いつでも、どこでもできるので非常に便利だ。
携帯は、人々の日常生活に深く根を下ろし、仕事にも遊びにも使われている。人々は街を歩きながら携帯で音楽やラジオを聴き、子どもたちは携帯でいっしょに電子ゲームをする。学生たちは地下鉄の車内に立って、携帯で本を読む。恋人たちはショートメールに甘い愛の言葉を書き込む……。
携帯の急速な普及は、中国の通信技術や通信設備製造業の急速な発展と不可分である。1998年、国内の携帯の生産台数は850万台で、そのうち輸出はわずか20万台にすぎなかった。それが2008年には、携帯の生産台数は5億6000万台、このうち輸出は5億3300万台となった。中国は世界最大の携帯生産国となったのである。
今日、中国は、3G(第3世代の携帯)の時代を迎えている。3Gの普及は携帯の製造業に対し、直ちに目に見える影響をもたらした。2008年、中国の携帯製造の100社の重点企業が1年間に生産した3Gは6579万台で、前年同期比で87.5%増加した。販売台数は6637万台で、前年同期比90%増であった。
携帯製造業に占める3Gのウエートは12.3%で、前年に比べ5.3ポイント増加した。3G時代の到来によって中国の人々の生活はより便利に、より多彩なものになるに違いない。
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