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家庭の味と街角の味

 

街角の味

街のレストランなら、「上海老駅」という店で「香干馬蘭頭」「蟹粉豆腐」「燻魚」など正統派の味が楽しめる。多くのレストランが、みな古い洋館を改築した建物を利用しているのも魅力だ。「上海老駅」の前身はフランス人が1921年に建てた修道院であり、レトロな雰囲気が漂っている。

それでもやはり家庭料理には及ばないと不満な人は、道端で上海の屋台の味を味わってみよう。「焼き饅頭」や「小籠包」はどこでも見つけやすいと同時に、まず味わってみるべきお薦めの味である。中国の北方では、いわゆる「饅頭」に餡は入っておらず、餡が入っているのは「包子」と呼ばれるが、上海ではそのような区別はない。だから北方から来た人が上海の街角で、初めて薄い皮の中にたっぷり餡の詰まった「焼き饅頭」や「小籠饅頭」を口にすると、はっと驚き、喜びを顔にうかべる。

この小籠包には、スープがたっぷりと詰まっている。これを作るのにはコツがいる。まず餡を包み込む前にスープを冷やし、「煮こごり」状態にする。その「煮こごり」を小籠包の中に包み込むことで、蒸すとその煮こごりがとけて熱々のスープとなり、「スープたっぷり」が味わえるというわけだ。

「佳家湯包」の「湯包」の皮は薄いが、破れない。注文を受けてから作り、蒸したてを食べられるため、とても人気がある
小籠包を作っている店の中では、城隍廟の「南翔饅頭店」の味が一番で、価格も手ごろと広く知られている。そのため、足を運ぶ人は後を絶たず、一年中混み合っている。誰もが知る人気店に行くのは抵抗があるという人は、「佳家湯包」にトライしてみよう。ここは地元では無名の小さな店だったが、外国のガイドブックに掲載されて以来、多くの外国人旅行客が訪れるようになった。行列ができるようになって番号札を配る際、この店ではおかみさんのアイディアで、トランプのカードを番号札として渡した。スペード、ハート、クラブ、ダイヤの順、さらにAからKの順にしたがって、数字のかわりにした。そのため、ある時期文廟付近では、油でべとついたトランプのカードを手にした外国人が、三々五々群れをなしてぶらぶらしている姿が頻繁に目についた。いうまでもなく、「湯包」を食べるために時間をつぶしている人々である。

ヨーロッパスタイルの建築であるレストラン「上海老駅」の庭には、かつての西太后専用車、宋慶齢専用車の2両の列車が置かれ、改装されてレストランの一部として利用されている レストラン「上海老駅」にはアンティークのステンドグラスも残っている

現在、「佳家湯包」はにぎやかな文廟から引っ越し、静かな麗園路に店を構えている。今はトランプを番号札にすることはしていない。それでもスープたっぷりのおいしい「湯包」を味わうために、多くの人がわざわざ足を運ぶ。名物の「蟹粉湯包」をオーダーすると、「姜絲米醋」がサービスされる。蟹肉によって冷やされた身体を生姜の千切り入りのお酢で温めるのだ。さらに海苔と卵のスープもついてくる。実に至れり尽くせりのサービスである。(高原=文・イラスト 馮進=写真)

 

人民中国インターネット版 2009年10月22日

 

 

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