平野直哉さん(経営者)  
 

上海で、レストラン、ギャラリーなどが入る洋館の複合スペース「diage」を経営する平野さん。サービス業の動きや、上海万博に期待するポイントをうかがった。

●万博を前にして、上海のサービス、特にレストラン業界では、どんな動きでしょう?

数ヶ月前から、ずべてのレストランに衛生レベルを表すパネルの掲示が義務づけられました。ローカルのお店も衛生管理のレベルは上がっているように感じます。不況と万博が重なっているので、飲食業自体の盛り上がりは一概に語れませんが、万博はあくまで、一つのイベントなので、それに影響されての出店というのは、数的には少ないかなと見ています。弊社のスペイン料理は、万博を訪れるVIPへの料理提供の打診があったりして、お祭りとしては、楽しみにしています。

●街の公共サービスや上海の人たちのマナーの変化はいかがですか?

タクシーの運転手さんのマナーは、劇的に良くなっていると思います。降りるときに、客にありがとうと言うようになっています。左折禁止や、Uターン禁止なども、守られるようになっています。手をあげて感謝の意を表してから、車線割り込みをする人も見かけます。個人的には短期間でのこうした意識の向上に目を見張る思いです。主要交差点にたくさんの係員が配置されたことも、マナー改善にとって大きなことだと思います。

●万博に関して、上海や日本の周囲の人々の反応はいかがですか?

国が大きい分、なかなか話が進まないという事はよく聞きます。大きなイベントはなかなか計画通りにはいかないものですが、上海政府の今後の追い込みには注目しています。万博自体への反応は僕のまわりでは、まだまだ薄くて、開会式のチケットをまとめて買っている知人がいるぐらいです。

●万博開催期間には、なにか計画がありますか?

万博によって、上海の外から来る人達を観察したいと思っています。今後の地方展開はまだ漠然と考えている段階ですが、なかなか地方都市を一つずつ回る事も難しいので、各地から来る人達の様子は勉強になるかなと思っています。自分の経営するレストランでは、まだちょっと万博自体の雰囲気がつかめないので、特に企画は考えていませんが、開催期間は長いので、始まった後でも何か対応できる事があればしようかな、という程度です。

●万博が上海に与える影響のなかで重要だと思われることは?

インフラの整備が一番大きいと思います。地下鉄や、道路がこのタイミングで整備される事は、今後の上海の発展にとって、プラスに働くと思います。それによって、市内中心部に集中していた人口が少しずつ郊外に広がっていくはずなので、都市として、新たなステージに入っていくと思います。

プロフィール

武蔵野美術大学でデザインを勉強した後、料理の世界へ。06年から、東湖路のdiage (レストラン2店舗、ワインバー、ヘアーサロン、ギャラリー、ショップが入った洋館)の経営者。現在蘇州で、全室露天風呂付きの旅館Happy Questを計画中(プロジェクトの動きはhttp://www4.atword.jp/naoyahiranoに掲載)。NPO的なアートプロジェクト a-1 grand prixを有志一同で企画中で、これは、若いアーティストを応援しつつ、値ごろなアートが一同に展示・販売できる展覧会で11月28日開催。詳しくはwww.a-1-grandprix.com

 

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