日中友好と理解を深めるための私の提案
林雨陽 三江学院
なぜ中日友好交流を深め、理解を深めなければならないのか。我々はまずここから問い直してみなければならない。その答えは幾つもあるだろうが我々は、何よりも、東アジア共同体の一日も早い実現のため、と答えたい。夢のような話に聞こえるかもしれないが、現実的な目的なくして現実的な発展はあり得ない。これまでたびたび呼びかけられてきた中日友好の取り組みをまだ遠くのものであるとは言えこの現実的な目的に向けて一段と進めるべき時が来ているように思われる。
周知のとおり、戦争や暴力で問題を解決する時代ではなく、これからは平和と発展を求める時代だ。中国も日本もともにこのより大きな共通の目的に向かって、これからもっと手を組まなければならない。だからこそ友好交流を深めるべきなのだ。
国交正常化以来、中日両国はもう色々な分野で大きな成果を遂げたのだ。それは確かにおめでたいことだと思う。だがこの観点からみるならば、まず、やはりもっと若者たち、子どもたちの交流を深める余地がたくさんあると思う。子どもたちこそ未来においてこの夢を実現してくれる大人になるからだ。たとえば両国間の図書、DVDなどの資料贈呈をさらに盛んにすること。両国政府は留学やホームステイや旅行を促進するなどが考えられる。具体的には国家は奨学金、援助金の制度を設立し、関連する出費を軽減するなどが必要だと思う。
まったく私的な考え或いは夢だが、もし中日両国がイギリスとフランスを真似て、関税を減免し、そして海底トンネルを開通させると、両国関係はきっといっそ親密になれると思う。それは今の技術から見ればやはりまだまだ早いことだが、数十年後、さらに東アジアの韓国、朝鮮の力も加えるならば、壮大な日本------大陸海底トンネルの構想は絶対にありえないことでもない。その時にはEUのように共通通貨を有する東アジア共同体が出来ており、きっと、東アジア全体の経済にも時代を画する重要な変化が訪れているだろう。
しかし東アジア共同体という偉大な構想を実現するためには、解決しなければならない問題がいくつかある。まず歴史問題が第一に挙げられるべきだと思う。それは互いの民族感情に関わって、確かに解決しにくい問題である。中国や韓国の教育ではある程度民族的な恨みを拡大させており、同じく日本の教育ではある程度問題を隠してしまおうという傾向がある。
私の考えでは、これはすぐに解決できる問題ではないが、共にこの将来の壮大な計画実現に向かって現実的に進むためには両国政府はやはり、大胆且つ冷静に、勇気を持って客観的な態度で取り組むよう努めなければならない。EUが実現したのもドイツが全面的に戦争責任を認め徹底的にファッシストたちの戦争責任を追及しているからである。私はやはり、日本にもドイツにならって戦争被害国に正式的に謝罪して、そして靖国神社参拝もやめてもらいたい。壮大な将来のことを考えるなら、それほど難しいことでもない思う。
このほど中、日、韓三国の歴史学者たちの共同作業によって中、日、韓共通の歴史教科書が作られた。もしそれが将来本当に採用され、三国の中学生、高校生たちが、共通の教科書で歴史を学習できるようになれたら、実に意味深いことである。それに加えて、中、日、韓三国の言葉が、現在の英語中心の外国語に代わって、高校から選択できるようになったら、東アジア共同繁栄にきっと大いに役立つと思う。なんといっても、若者の育成は未来にとって一番大切なことだから。東アジア共同体を作るために、これも不可欠な一環である。
中国経済の高度発展に伴って、今回の世界的な金融危機をきっかけとし、世界経済のバランスがもう緩やかに変わって、その重心はだんだん中国に傾いてきている。それは中国にとって、或いは東アジアにとって、世界経済の舞台に登場する絶好のチャンスではないかと私は期待している。
世界二大経済中心として、今はやはりアメリカとEUのほうが力強い。だがそれは中国や日本にとっては相対的な力量の差にすぎない。もっともすでに中国も日本も西洋が軽視することの出来ない世界的な大国であるので、もし東アジア共同体の構想が本当に実現できたら、それは必ずアメリカやEUを超える巨大な力になれると思う。その時が来れば、世界の中心はアメリカでもヨーロッパでもなく、必ず東アジアに移ると、私は確信し、その日を心から祈っている。
選評コメント
東アジア共同体の実現を求める筆者の提案は、論理的で、真剣なものだ。その実現のためには、歴史問題の解決が必要とする考え方も筋が通っている。ただ、中日韓共通の歴史教科書が「作られた」とあるが、まだできていない
創作におけるインスピレーション
実は僕、前回の笹川杯クイズ大会にも参加したのです。学校の代表として最後の決勝までやり抜けなかったのは残念でしたが、ほかの選手たちの見事な戦いぶりを見て、本当に感心しました。特に最後の尾形理事長の素晴らしい発言に大きく励まされまして、今後も一層精進していこうと僕は決心しました。
理事長の発言の中の「変化」という言葉が僕の心に深く刻み込まれました。どの国もが安定を求めながら、変化しなければならないと僕はしみじみ感じられて、深く共鳴したのです。これも今回僕の作文の最大のインスピレーションとなり、中日を別々にして考えるのではなく、視点を変えて、東アジア共同体という見地から書くことにしたわけです。海底トンネルの構想もまったく一時的で勝手な考えですが、それもいいじゃないかと思って、敢えて作文に書いたのです。
受賞の感想
「笹川杯作文コンクール2009―感知日本」に入賞したと学部の先生から知らされたとき、嬉しいというよりもびっくりしました。なぜならこの作文を書こうと決めてから締め切りまで、僅か二日間しかなかったのです。慌しく時間と勝負しながらやっと文章を完成しましたが、本当に受賞するとはぜんぜん思えなかったのです。
最初この文章が出来たときは、ただ海底トンネルがあれば便利だなという程度の単純な内容でした。これではダメだと思い、僕の作文の授業を担当する曽田先生に相談しました。先生はその頃の天気のせいで、風邪を引いてらっしゃったのですが、僕の稚拙なアイディアを笑うこともなく聞いてくださいました。そして、先生との対話の中で、「経済を結ぶトンネル」というイメージができあがったのです。こうして、今みなさんのご覧になるこの文章が始めてできたわけです。ここに謹んで先生への感謝の意を表したいと思います。
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