COP15において温総理は「中国は責任ある国」と表明

温家宝総理はCOP15において、「中国政府が決定した温室効果ガスの排出速度を緩やかにする目標は国情に基づき採用した自主行動であり、いかなる国の排出削減目標とも関連づけられない」と表明した。この発言に関連して、蔡博士は「中国はこの気候変動という問題について深く認識しており、中国人民および世界各国の人民の生存環境についても明確に理解している」と指摘。さらに「中国は責任ある国家である。中国は途上国であり、依然として1億5000万人の貧困人口を抱えているものの、南南協力と二国間協力の枠組みで後発発展途上国、小島嶼国、アフリカの国々へ出来る限り援助を行い、これらの国々の気候変動対応能力の向上を図っている」と説明する。

先進国の削減目標と実際行動との間にどのくらいの開きがあるのか

蔡博士はこの問題における先進国の状況について、上述の2大グループから説明した。「まずEUは常に自身の公約を実行している。アンブレラ・グループは実行できない約束をしているようなところがあり、付加する条件も多い。このうち、米国は17%削減に関連した措置について、経済危機の影響で実施を2011年に先延ばしした。その理由は米国上院で温暖化対策法案が一向に可決されず、排出削減に関する措置の法的保障を得られないからだ。このほかに、金融危機の影響で米国は失業率が今なお非常に高く、オバマ大統領の支持率低下が続いているため、様々な方策を尽くして就業率の向上を図らねばならない。就業率および経済発展優先の原則から、本来排出削減措置をとらなければならない企業も現状維持のままだ。排出削減の取り組みは非常に大きな課題に直面していると言える」。

さらに「日本は政治の混乱期にあるため、排出削減の面で大きな効果をあげることは不可能だろう。専門家の多くは今年メキシコで開催されるCOP16にも大きな期待を寄せていない」と分析する。

「低炭素経済」は両大会の注目ワード 中国はいかに効果的に発展させるか

経済危機に遭遇した中国は現在も同様に経済を第一とする発展目標を掲げているが、経済構造の調整および改善を進めるのと同時に、省エネと排出削減の重要性を強調している。低炭素経済は風力、太陽エネルギー、電気自動車などのプロジェクトの発展だけを指すものではない。風力エネルギーや太陽エネルギーは低炭素経済のほんの一部分に過ぎず、これを発展させるためには温室効果ガスの排出削減が最も重要となる。

蔡博士は真の意味で低炭素経済をいかに大きく発展させるかについて、4つの面から説明した。

「1つ目は、排出削減には法律・制度に基づく管理と法律・制度の保障が必要だ。法律・制度に基づき排出を規制しなければならない。法律・制度に基づく監督がなければ、本当の意味で低炭素生活を実現することはできない。ただし、法律・制度も国家経済政策の変更および生活の変化とともに、変化しなければならない」。

「2つ目は、地方政府も関連する制度の刷新を進め、環境保護に関する知識を市民に普及する必要がある。市民が日常生活で実践できるちょっとした省エネの取り組みが、どのくらいの二酸化炭素削減につながるかといった情報を提供することもその一例だ。市民にカーボンフットプリントやカーボンオフセットなどの関連知識を十分理解させ、省エネ・環境保護のプロセスにおいて自分が貢献できることを実感してもらうことが重要だ」。

「3つ目は、企業も国家のために経済を発展させると同時に、国家の環境保護事業のためにも力を尽くすべきだ。企業が環境保護事業を進める上でも、法律・法規による規制と保障が必要となる」。

「4つ目として、社会と市民が低炭素社会の主体となる点が挙げられる。環境保護と排出削減について意識の高い市民は、消費、娯楽、観光などの衣食住および交通のそれぞれの面で省エネ・排出削減に取り組むだろう。政府は市民が省エネ・排出削減に取り組むよう、ハンドブック提供や奨励措置を実施すべきである」。

 

「チャイナネット」 2010年3月11日

 

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