和泉日実子 王焱=文・写真
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愛犬家らが集う北京市朝陽公園内のドッグランにて |
ここ数年、住宅地はもとより街なかを歩くと、愛犬を連れて散歩する人の姿をよく目にする。
北京市の統計によると、北京市の飼い犬の登録数は毎年10万匹単位で伸びており、2009年には90万匹に達した。ペットショップも、続々とオープンしており、それに付随して「寵物美容師(ペット専門の美容師、トリマー)」が、人気の職業の一つとなっている。
中国のペット業界大手の「湯姆狗(トムドッグ)」が運営するペット美容師養成学校のスタッフの話によれば、2005年の創立以来、すでに3000人ものトリマーを輩出し、その6割は起業して自分の店を持っている。現在、毎月50人ほどが卒業しているが、求人が多いので就職率も良いという。
中国のトリマーの草分け的存在である李雪陶さんは、北京を中心にチェーン展開するペットショップ「楽寵」の美容主管である。李さんは、1990年代に犬のブリーダーを始め、その後、2000年に、自らプードルを飼ったのを機にペット美容に関心を持ったという。当時、大陸にペット美容を学ぶ専門の施設がなかったので、香港や日本まで赴き、技術や知識を習得した。現在、李さんはトリマー指導者としても活躍しており、トリマーの養成学校も経営している。
李さんによれば、仕事を始めたばかりの初級トリマーの場合、毎月の基本給は約2000元、中高級トリマーになると約5000元になる。さらに業績によっては、給料が上がることもあるという。北京市の毎月の平均賃金は約3400元(2008年調べ)と比べて、このような収入の良さも、職を選ぶ上で、魅力的に映るようだ。
「楽寵」朝外SOHO店のグルーミング(美容)ルームはガラス張りで、ペットたちが、爪切り、耳そうじ、シャンプー、ブラッシング、毛をカットして整える様子が外からのぞくことができる。ペットもリラックスしているようで、時おり尻尾を振っている。そんな姿を、飼い主や買い物客が足を止めてガラス越しに見学している。
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小型犬の場合、シャンプー、毛のカット、爪の手入れなど各40~50元程度 |
犬が大好きというトリマーの黄雲さん |
26歳の黄雲さんは、この店で働く4人のトリマーの一人で、毎日4~5匹の犬の毛の手入れを行っている。黄さんは、高校卒業後、ペット美容を学べる学校へ進んだ。犬好きで、犬と付き合うような仕事をしたかったのが、この仕事を選んだ理由だという。最近、仕事でうれしかったことを笑顔でこう語った。
「先月、とても小さいポメラニアンがやってきました。見た感じ見栄えがしませんでしたが、僕が洗うと、毛はフワフワとし、つやも出てきました。飼い主もその変化に驚き喜んでくれ、それ以降、ずっと店に通ってきてくれています。そのポメラニアンは美人顔なので、これからの成長が本当に楽しみです」
黄さんの将来の夢は、さまざまな名犬のグルーミングを自分で手がけること。そして、自分の才能を発揮し、ペットグルーミングの達人になることだという。現在、彼はその夢に向かって、日々、技術のスキルアップに余念がない。
人民中国インターネット版 2010年3月24日
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