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羅晨雪さんが昆劇「1699・桃花扇」でのスチール写真 |
「つながろう!調和のとれた未来のために」というメッセージを携え、外国パビリオンの中では最大級の出展規模を誇る日本館。3つの展示ゾーンのうち、ゾーン3では日本と中国が協力して保護活動を行っているトキをモチーフとしたショーが上演される。このショーは、中日の伝統芸能である昆劇と能のコラボレーションショーとしても注目が集まる。総合演出は日本の佐藤信氏、舞台演出は上海出身の栄念曾氏が手がける。
このショーの主役のひとりである羅晨雪さんは、「自分は上海万博の単なる観覧者に過ぎないと思っていました。まさか参加できるなんて! うれしくてたまりません」と率直に喜びを語る。
ショーは、万博が開幕する5月1日から閉幕するまで、連日行われる。30分ほどのショーだが、毎日30回以上こなさなければならないため、羅さんら江蘇省昆劇院の団員は5組に分かれて、代わる代わるステージに上がる。こんなにも長期間、1日何回もステージに上がるのは演者にとって非常に大変なことだが、羅さんは少しも不平を口にしない。「世界中からやって来る人に無形文化財である昆劇を見ていただく絶好のチャンスですから。それになんと言っても、この物語はとても巧妙で奥深く、私自身も大好きなのです」。
中日合作のこのショーが語るのは、一匹のトキをめぐる感動的な話だ。人間により自然環境が破壊され、一匹の美しいトキが病気になった。偶然、その羽毛を拾った男の子とおじいさんは苦労しながらも傷ついたトキを見つけ出し、澄んだ泉の水でトキを治療する。すると、再び生命力がみなぎり・・・・・・。
この人間と自然の相互調和の物語は、決して想像だけでつくられたものではない。中日友好の美談を反映している。
1990年代、江沢民主席が訪日した際、中国は日本に貴重なトキを贈った。日本はこれを非常に重視し、先進技術を使った人工繁殖によって数年で100匹以上に増やした。そして、人工繁殖したトキが自然の中で生存できるかどうかを確かめるために、その中の10匹に発信器をつけて森に放した。しかし、思いもよらないことに、放鳥した10匹の行方は分からなくなってしまった。この結果から日本は、独りよがりの思いあがった環境保護では、トキの長期生存に有利な条件を生み出すことはできないことを思い知った。
今回のショーの中で、トキの命はある種の象徴といえる。中日両国の演出家は、トキの物語によって、環境保護の大切さと、地球のためにもっと大きな自然空間を残し、未来のために美しい緑を残そうと訴えたいと願っている。これは上海万博のテーマとも合致する。
主役の傷ついたトキを演じる羅さんには、演技の上で参考になる手本は何もない。ここ数年の自分の舞台経験だけに頼り、昆劇そのものの型を結び付けて、表現するという。「できるだけ多くの人に見ていただき、この作品を好きになってもらいたい」。これが彼女の最大の願いだ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年4月13日
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