文=中国2010年上海万博日本国家館館長 江原規由
|
作者 | 上海万博のキャッチフレーズが市内のいたるところで目を楽しませてくれます。その一つに、世界の子供たち六人が巨大な地球儀の前に集い、その地球儀の上に「不出門外 看遍世界」(国を出ることなく、世界を見よう)と掲示されたものがあります。万博誕生百年の節目の年を迎えた上海万博を余すところなく形容しているキャッチフレーズといえるでしょう。上海万博には242国・地域・機関が参加しており、万博史上最大のイベントです。まさに、万博会場を一目見ることにより、世界を見て取ることができる、というわけです。上海万博会場はまさに現世界の縮図といってよいでしょう。
時空の旅
日本館にも、居ながらにして時空を旅し、また、一年を楽しめる展示空間があります。その一端を紹介しましょう。日本館は三階建て3つの展示空間からなっています。時空の旅は一階から始まります。参観者には、まず遣唐使の船、阿倍仲麻呂、鑑真が日中交流の架け橋役であった中国の唐代、日本の平城京へ至るタイム・トンネルをくぐりぬけていただきます。当時、日本は中国から、制度、文化など多くのものを取り入れ発展してきたといえます。その色彩豊かな品々がタイム・トンネルの頭上に紹介され、大いに目を楽しませてくれるのです。
四季の旅
タイム・トンネルをくぐり抜けると次に、満開の桜が目に飛び込んでくるはずです。桜の木の下には茶室が設けられています。場所は三階、時代は現代です。十分足らずで1300年の時空を一気にくぐり抜けたわけです。ここから、日本の四季の旅が始まります。桜の季節~春の次は夏、蝉取りにいくランニング姿の子供が駆け抜けていきます。秋は月見、冬は「雪うさぎかまくら」など、日本の四季の風景を堪能していただきます。十分足らずで日本の四季折々が眼前を通り抜けていくのです。ゆっくり楽しんでいる余裕はないかもしれません。その先には、2020年の未来の都市がお待ちしています。過去、現代、未来の時空を体験していただくわけですが、そのほかにも、目を楽しませてくれる数々の日本の最新技術の展示・実演(環境・省エネ関連など)、600人収容の大ホールでの日中共同での感動の朱鷺(トキ)の保護の取り組み、中国の昆劇と日本の能の共演などのアトラクションがあります。それらは、「見ての楽しみ」としておきましょう。ぜひ、日本館を参観され、百聞一見してください。
日本館の参観時間は約一時間です。一回600人の皆さんに一緒に展示空間を旅していただきます。一日36回、一日約2万人余の人たちに入館いただくことになっています。
人民中国インターネット版 2010年4月29日
|